最新記事

投資の基礎知識

キャピタルゲインとインカムゲイン、どちらを狙うかで投資方法が変わる

2018年6月29日(金)18時21分
岡田 禎子 ※株の窓口より転載

「キャピタルゲイン」は不確定な利益と心得る

キャピタルゲイン狙いの投資家は、当然のことながら、配当の有無や株主優待よりも、株価の値上がりを重視します。「ポケモンGO」の大ヒットによる任天堂株の値上がり益を狙おうというときに、配当金や株主優待を気にした投資家がいたでしょうか。キャピタルゲインを狙う投資家にとっては、配当や株主優待などは、言ってみれば「おまけ程度」なのかもしれません。

たしかに、キャピタルゲイン狙いの投資は、インカムゲイン狙いの投資に比べて大きな収益が見込めます。株価が10倍になる「テンバガー」株などは、投資家なら誰もが憧れますよね。しかし、株価が本当に値上がりするかどうかは誰にもわかりません。

万が一、保有している株が大きく値下がりした場合は、そのまま持ち続けてインカムゲイン(配当)をもらいながら、株価の回復を待つことになります。でも結局、何年たっても株価は戻らず、配当だけでは損失を埋めることもできず、大抵は上手くいきません。あきらめて売却した場合には、当然キャピタルロスが発生してしまいます。

このように、キャピタルゲイン狙いの投資は、安定的な収入を見込めるインカムゲイン狙いの投資に比べて、不確定な投資方法なのです。

「インカムゲイン」を狙うなら将来性を考える

一方、インカムゲイン狙いの投資家は、配当や株主優待を重視します。キャピタルゲイン狙いの投資より収益性は低くなりますが、保有し続けることで、継続的に配当収入や株主優待を得ることができますし、長期で保有し続ければ大きな利益にもなります。インカムゲインを狙うデイトレーダーなどいないように、長期投資に向いている投資方法です。

ただし、この「保有すればもらえる」部分だけを偏重してしまうと、思わぬ落とし穴があります。たとえば、配当を狙った投資で重要なポイントとなるのが、「配当利回り」です。株式を保有したら年間でいくら儲かるのかを具体的な数値で表したものです。

kabumado180629-chart.png

超低金利の影響で、最近では、銀行預金と比べて遥かに高い利回りとなる高配当銘柄に注目が集まっています。しかし、この配当利回りだけを見て投資をしてしまうと、思わぬ損をしてしまうことがあります。

というのも、上の算出式からわかるとおり、株価が安ければ配当利回りが高くなるからです。株価が安いということは、業績が急激に悪化しているか、あるいは不祥事などで株価が下がっている可能性もあります。業績悪化から減配(配当金が減ること)や無配(配当がなくなること)になり、さらに株価が大きく値崩れすることも考えられます。配当がもらえないばかりか、損失が大きすぎて売るに売れない......なんて本当に困りますよね。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナに大規模夜間攻撃、19人死亡・66人負傷

ワールド

ウクライナに大規模夜間攻撃、19人死亡・66人負傷

ワールド

中国、日本産水産物を事実上輸入停止か 高市首相発言

ワールド

訂正-ジャワ島最高峰のスメル山で大規模噴火、警戒度
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中