最新記事
中国経済

中国経済に予想外の追い風...米中関税戦争中なのに「輸出ブースト」の背後にあるもの

China's Economy Gets Surprise Lift from Trump's Trade War

2025年7月16日(水)17時35分
ヒュー・キャメロン

貿易黒字が拡大した理由は「駆け込み」?

今回の輸出の伸びは、アメリカ以外の市場への出荷が牽引した。対米貿易は依然として減少傾向にあり、6月の対米輸出は前年同月比16.1%マイナスの382億ドル、対米輸入も15.5%減の116億ドルとなった。ただ、5月の輸出減(34.5%)および輸入減(18.1%)よりは小幅な下げ幅だ。

米中の貿易関係は、5月初旬に両国が90日間の関税引き下げに合意したこともあり、6月に入って多少の安定を取り戻した。「停戦合意」は、スコット・ベッセント米財務長官とジェミソン・グリア米通商代表が、ジュネーブで中国側と会談した後に成立。これにより、輸入品への高関税が引き下げられたほか、将来の交渉に向けた枠組みも設けられている。


両国は双方が合意に違反したと非難合戦を展開している。実際、合意が形成されてからも、レアアースの輸出拡大に関する基本合意や、アメリカが対中貿易規制を緩和するという約束は以外、目立った進展は確認できない。

「貿易黒字拡大の重要な要因は、8月12日の関税交渉の期限を前に輸出を急いだことだ」と中国経済が専門のコロンビア経営大学院教授の魏尚進(ウエイ・シャンチン)教授は本誌に語った。

「中国経済が長期的に抱える問題である国内消費と需要の低迷が、6月の輸入が相対的に弱かった原因でもある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、必要なら西側への「予防的攻撃」開始も=前大

ビジネス

長期金利上昇、市場の先行き不透明感が意識されている

ビジネス

投資ファンドの3D、スクエニHD株を買い増し 14

ワールド

台湾で空襲訓練、中国ミサイル攻撃を想定 台北など一
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 5
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 6
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 7
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中