出生率回復に必要なのは結局「お金」? 中国中部の小さな町での成功例から分かったこと
China's New Cash Plan to Tackle Birth Rate Threat

中国ではすでに一人っ子政策は撤廃されているが SeventyFour-shutterstock
<中国では一人っ子政策が廃止された後も、出生率が伸び悩んでいる。政府もさまざま対策を打っているが、劇的な改善は望み薄だ>
急激な少子高齢化に悩む中国は、新生児のいる家庭を対象とした全国規模の現金給付の導入に向け動き始めている。出生率の低下を食い止め、長期的な経済成長を確保するためだ。
本誌は中国外交部にコメントを求めている。
中国は2016年に数十年間行ってきた一人っ子政策を廃止した。しかし、政府によるさまざまな取り組みにもかかわらず、7年もの間、出生率は低下した。
2024年には合計特殊出生率は2023年の1.0から1.2へとわずかに回復したものの、人口を維持するのに必要な「人口置換水準」である2.1には遠く及ばない。さらに、人口は3年連続で減少している。
こうした人口動態の変化が、中国の経済や国際的地位へ影響を及ぼすかもしれないと各方面から懸念が高まっている。
中国政府もさまざまな取り組みを行っているが、出生率の改善にはつながっていない。しかし、唯一の例外として知られるのが、中国中部に位置する湖北省天門市での取り組みだ。
天門市では、結婚や出産に関わる補助金など、さまざまなインセンティブを導入した後に、出生数が大きく増加した。実際、2024年の同市の出生人口は前年比17%増の7217人となっている。同市はこれまでにも体外受精に対する補助金や、育児補助の提供などを行ってきている。