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中国の「非婚・少子化」は原因が複合的すぎて打つ手ナシ?...親は「娘の経済的自立」重視、「義理の息子」候補に過剰な期待も

CHINA’S MARRIAGE CRISIS

2025年4月7日(月)15時05分
易富賢(イー・フーシェン、米ウィスコンシン大学マディソン校人口学者)
1月にハルビンで行われた結婚式のイベント

1月にハルビンで行われた結婚式のイベントには約40組の新郎新婦が参加 ZHAO YUHANGーCHINA NEWS SERVICEーVCGーREUTERS

<「一人っ子政策」時代の男女の人口比のいびつさ、その世代の離婚増加、教育重視で結婚・出産の軽視など、驚くべき実態について...>

中国政府が2月に発表したところによると、昨年の婚姻数は前年比で2割減少した。2025年の出生数は24年の954万人に対し、730万〜780万人に減る可能性がある。

中国は世界の人口の17%以上を占めるが、今年の出生数が占める割合はナイジェリアと同格の6%以下となるだろう。

25年には合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)が0.9に低下すると予想されるなか、李強(リー・チアン)首相は出生率回復のための新たな政策を実行すると発表した。


だが中国の「結婚クライシス」は覆りそうもない。婚姻数はピーク時の13年の1347万組から24年には611万組へと激減。婚姻率も同期間に人口1000人当たり9.9から4.3に低下している。アメリカの23年の婚姻率は6.1だ。

なぜこのような事態になったのだろうか。中国指導部にとっては残念なことだが、理由は複合的であり、1つではない。

20年に行われた国勢調査によると、赤ちゃんの61%は20〜30歳の女性が出産しているが、この年代の女性の数は12年の1億1100万人から24年には7300万人に減少。50年には3700万人にまで落ち込むと予想されている。出生率が上向いたとしても、出生数は急速に減り続けるだろう。

性別を選択して中絶する状態が数十年も続いた中国では女性が少なく、新郎側が用意する結納の金品が高騰していることも一因だ。

出生時の男女比は一般的に女児100に対し男児102〜106だが、20年の国勢調査では0〜4歳の男女比は男児が120、湖北省武穴市では197だった。

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