中国「ディープシーク」創業者・梁文鋒氏が目指すのは「中国の技術革新」...「チャレンジ精神が原動力」

1月28日、世界の株式市場や人工知能(AI)関連業界に衝撃をもたらした中国の新興企業ディープシーク(深度求索)。創業者の梁文鋒氏(39)は中国ハイテク産業の顔として、また米国による厳しい輸出規制を乗り越える希望として、彗星のように表舞台へ登場した。写真は中国の旗とディープシークのロゴ。同日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
世界の株式市場や人工知能(AI)関連業界に衝撃をもたらした中国の新興企業ディープシーク(深度求索)。創業者の梁文鋒氏(39)は中国ハイテク産業の顔として、また米国による厳しい輸出規制を乗り越える希望として、彗星のように表舞台へ登場した。
今月20日に李強首相が開催した非公開のシンポジウムで意見を求められた出席者9人の1人として紹介されるまで、梁氏の存在はほとんど知られていなかった。2023年と昨年に中国メディア「Waves」のインタビューを受けた以外では、ほとんど公の場に姿を現してこなかったためだ。
中国中央テレビで放映されたシンポジウムの映像や動画を見ると、ミレニアル世代の梁氏の若さは居並ぶ白髪の学者や当局者、国営企業トップらと好対照をなしている。しかし、首相が政府の方針に関して意見を求めようと梁氏を招待したという事実は、ディープシークこそが世界のAI開発を巡る構図を中国有利な方向に一変させる役割を果たす潜在力を持っていると当局が認識していることを浮き彫りにした。
インターネット検索大手、百度の李彦宏最高経営責任者(CEO)は昨年、同じく首相肝いりのシンポジウムで意見を述べていた。23年3月に中国勢で初めて米オープンAIが開発した対話型AI「チャットGPT」の対抗製品を発表した李CEOはこの年のインタビューで、中国は米マイクロソフトが支援するオープンAIの成功を決して再現できず、中国企業は既存AIモデルの商用化に注力すべきだとの見方を示していた。
一方、梁氏が率いるディープシークは意図的にアプリ開発を避け、オープンAIと同等またはより高性能のモデル創出に向けて優秀な研究者と資源を集中。今後も消費者や企業用のAI製品を企業が構築する際に使う最先端のモデル開発を重視したい考えだ。
この手法は、スマートフォン用アプリから電気自動車(EV)まで外国由来の革新的技術を活用し、本家よりもずっと素早く量産化にこぎ着けるのを得意としてきた中国のハイテク産業において異色と言える。
梁氏は昨年7月のWavesのインタビューで「中国のAIが永遠に追随者の立場に甘んじることは許されない。中国製AIと米国の差は1-2年だとわれわれはしばしば口にするが、実際のギャップはオリジナルと模倣の間にある」と語った。