最新記事
仮想通貨

現在のビットコイン価格は「高すぎ」か、実は「割安」か...オンチェーンデータから見る「本当の買い時」

2024年7月3日(水)17時41分
清水健登(SBI VCトレード ディーラー)
ビットコイン価格のオンチェーン分析

Sodel Vladyslav/Shutterstock

<1BTC=6万ドルを超える水準に達したビットコインだが、この価格は価格変動のサイクルの中でどれくらいの水準にあると分析されるのか?>

多くの相場は、常に上昇し続けたり、常に下降し続けたりすることはありません。上がったり下がったりを繰り返す「周期(サイクル)」があります。トレーディングカードでも、半導体でも、金利でも、ビットコイン(暗号資産)でも、大きなトレンドの中で、相対的に高い時期と相対的に安い時期が存在するのです。

ビットコインの周期で最も有名なものは「半減期(*1)」ですが、今回の投稿では、「オンチェーン分析(オンチェーンデータの分析)」と呼ばれる手法を用いて、現在のビットコイン価格について考えてみたいと思います。

「オンチェーンデータ」と「オンチェーン分析」

オンチェーンデータとは、ブロックチェーンネットワークに記録された活動の集積です。ビットコインネットワークでは、例えば「AさんがBさんに〇月〇日に1BTCを送金しました」「Cさんは3年間、1カ月に1回0.1BTCを購入しています」「Dさんは10BTCを保有していて、DさんのBTCが最後に移動されたのは2カ月前です」といったような情報を、誰もが確認することができます。

オンチェーン分析とは、このようなオンチェーンデータの中から重要度が高そうな(相場に関係がありそうな)データを抽出して人間が解釈しやすい形に整え、それを評価する分析手法です。本稿では以下、オンチェーン分析で最も有名な指標の一つである「MVRV比率」を紹介します。

MVRV比率(MVRV Ratio)

ビットコイン価格のオンチェーン分析

(黒線:BTC価格、橙折れ線:MVRV比率)
Glassnode提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

上図は「MVRV比率(Market Value to Realized Value ratio)」と呼ばれる指標です。ビットコインの時価総額を「実現時価総額(Realized Cap)(*2)」で割った比率をチャート化しており、値が高いほどビットコイン価格が割高であり、値が低いほど割安であるとされています。

単純化して説明するなら、「ビットコインの現在価格は保有者全体の仕入れ価格の何倍くらいか」を表していると言えるのではないでしょうか。

以下、MVRV比率が高い箇所(緑枠)と低い箇所(赤枠)をチャートに書き込んでみます。

※一般にMVRV比率3.5以上は高い、1以下は低いとされますが、今後ビットコインの時価総額が上昇するにつれ、割高側の値(3.5)の適正値は徐々に小さくなっていくと筆者は考えています。

MVRV比率(書き込み後)

ビットコイン価格のオンチェーン分析

(黒線:BTC価格、橙折れ線:MVRV比率、緑枠線:MVRV比率が高い箇所、赤枠線:MVRV比率が低い箇所)
Glassnode提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米東部4州の知事、洋上風力発電事業停止の撤回求める

ワールド

24年の羽田衝突事故、運輸安全委が異例の2回目経過

ビジネス

エヌビディア、新興AI半導体が技術供与 推論分野強

ワールド

ホンジュラス大統領選、トランプ氏支持のアスフラ氏勝
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中