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1247万回再生でも利益はたった328円 YouTuberが稼げなくなった「ビジネスモデルの変化」とは

2023年2月24日(金)12時45分
高橋暁子(成蹊大学客員教授) *PRESIDENT Onlineからの転載

競合がどんどん増え、パイの取り合いが熾烈に

YouTuberが稼げなくなった原因は、YouTube全体の広告収入が減っただけではない。たとえば、YouTuberが増えすぎたことも影響しているだろう。

杏や木村文乃、ジャニーズタレントなど、最近は芸能人のYouTube進出が相次いでおり、もともと知名度が高い芸能人による動画と競わなければならないことも影響しているはずだ。視聴者が急激に増えない限り、YouTube内のプレイヤーが増えれば、どうしてもパイの取り合いになってしまう。

コロナ禍のステイホームで視聴時間が長くなっていたが、外出制限がなくなった今、ネットよりイベントなどのリアルへの回帰が進んでいることもあるだろう。ネットに限っても、AmazonプライムビデオやNetflix、TVerなど、他の動画配信サービスとの視聴時間の取り合いも熾烈(しれつ)になっている。

このようにみていると、「たしかにYouTuberはオワコンだ」と思ってしまいそうだが、必ずしもそうではなさそうだ。

チャンネル登録者数405万人を超える音楽グループRepezen FoxxのDJ社長は、2022年12月の収益が1800万円であったことを明かしている。2021年6月まで収益化していなかったため、以前と比べた収益がどうかはわからないものの、驚くべき金額だ。

専門性の高いチャンネルはちゃんと見られている

大手予備校で講師の経験があるYouTuberもりてつは、チャンネル登録者数26万人以上を持つ英語系YouTubeチャンネルを運営しており、2022年の年間収益は2237万9805円と明かしている。

ある語学系YouTuberは、「YouTuberがオワコンじゃなくて、そのYouTuberが人気がなくなっただけでは」と断言する。「自分は前と特に変わってない。他人と似たようなことを投稿していたら見られなくなるのは当たり前」

すべてのYouTuberが収益を減らしているわけではなく、専門性の高いYouTuberや他にはない特別なコンテンツを持つYouTuberなどは、収益を上げ続けているようだ。一時期、大量に発生した迷惑系YouTuberのような「バズればいい」というやり方ではなく、オリジナリティーのあるコンテンツが求められていると言える。

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