最新記事

円安

1ドル144円台突入 円急落が呼び込む円売り圧力スパイラル

2022年9月7日(水)16時29分
ドル円相場を表示するディスプレイと日本国旗

外国為替市場で円安が一段と勢いを増し、対ドルでは9月7日、144円台と24年ぶり安値を更新した。今年の円の下げ幅はすでに28円と、43年ぶりの大きさに達した。都内で同日撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

外国為替市場で円安が一段と勢いを増し、対ドルでは7日、144円台と24年ぶり安値を更新した。今年の円の下げ幅はすでに28円と、43年ぶりの大きさに達した。記録づくめの円安をけん引しているのは日米金利差や日本の貿易赤字だが、ここにきて円の急落が一段の円売りを呼び込む動きも表れ始めている。

オーバーヘッジとノックアウト

ドルは対ユーロでも20年ぶり、対英ポンドでも2年半ぶり高値を更新するなど全面高で、円だけが大きく下落しているわけではない。むしろ、この3カ月間の主要通貨の動きを見ると、ペロシ米下院議長が台湾を訪問して米中関係に緊張が走った8月初旬など、円は一時ドルを上回る強さを見せていたこともある。

しかし、ドル一強に変化はないまま、8月後半から次第に円の下げが目立つようになる。その過程で話題となったのは、国内機関投資家が「オーバーヘッジ」と呼ばれる問題の解消に向けて動いた円売りだ。

日本の機関投資家は、金利も流動性も高い米国債を中心に資産運用を行っているが、保有債券の多くは為替リスクを排除した「ヘッジ外債」だ。資産購入のため実施したドル買いと同等のドル売りを行うことで、実質的に為替変動により発生する損益を相殺することができる。

ここで問題となるのは、保有資産の評価額が大きく下落した場合だ。保有資産に対してドル売りポジションが大きくなりすぎると、過剰な為替リスクを負う形になるため、調整のドル買い/円売りを実施する必要が生じる。年限を問わず米金利が歴史的水準へ急上昇、つまり債券価格が広範に急落したことで、追加の円売りが発生しやすくなっている。

エネルギー関連など製品輸入が多く、支払いのため恒常的に円売り/ドル買いを入れる輸入企業も、急速な円安進行で追加的な円売りに迫られている。金融機関と為替予約を結ぶ際に設定したドルの上限を突破すると「ノックアウト条項」が発動され、保有するオプションが消滅、再び円売りの為替予約を入れなければならないためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日銀総裁、次の利上げへ賃金・物価の上昇持続を重視 

ビジネス

ドルが一時2円弱急落、日銀総裁会見後に急動意 レー

ワールド

ベトナム共産党、ラム書記長を再任 結束を維持すると

ビジネス

仏総合PMI、1月速報48.6 予想外の50割れ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 8
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 9
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 10
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中