最新記事

物流

イギリス、トラック運転手不足巡り混乱続く 2000強の給油所で在庫なし

2021年10月1日(金)09時08分
英ハーシャムのガソリンスタンド

英国でトラック運転手の不足に伴う混乱が続いている。写真は30日、英ハーシャムのガソリンスタンドで、燃料輸送を終えたドライバー。撮影(2021年 ロイター/Peter Nicholls)

英国でトラック運転手の不足に伴う混乱が続いている。30日時点で2000カ所を超えるガソリンスタンドはなお手持ちの在庫がなく、薬局への医薬品配送も滞るありさまだ。

給油所では順番を巡ってけんかが発生し、人々は少しでも多くのガソリンを手に入れようと古いペットボトルまで持ち寄っている。閣僚は危機が和らいでいると繰り返しながらも、29日には軍に燃料輸送車の出動命令を下した。

国内の給油所8380店が加盟するガソリン小売協会(PRA)が30日発表した報告によると、まだ全体の27%は在庫切れのままで、21%は1種類の燃料しか手元になく、ガソリンと軽油が十分にあると答えたのは52%だった。PRA幹部は「未曽有の需要のため通常よりも急速に製品がなくなりつつある」と語り、給油現場では依然として従業員が罵声を浴びせられたり、乱暴されたりする事例が聞かれると、その殺伐とした雰囲気を明らかにした。

ロイターが30日、ロンドン市内と周辺地域の給油所10カ所を訪れたところ、営業していたのは3カ所のみ。何十人もがジグザグの形で並び、従業員が整列させていた。

一方大手薬局の業界団体の広報担当者は、海外からの卸売り段階から小売り段階まで供給網全体が影響を受けていると説明した。

一連の混乱や今後想定される各種商品の値上がりは、今年7%と見込まれている英国の経済成長の足を引っ張る恐れがありそうだ。

これとは別に畜産農家からは、政府がより外国人の食肉解体従事者にビザ(査証)を発行しないと、数週間以内に何十万頭もの豚を処分しなければならなくなるかもしれない、との悲鳴が上がっている。 

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さらに強く
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、カタールからジャンボ機受領へ 大統領専

ワールド

自動車関税除いた合意のめない=対米関税交渉で石破首

ワールド

経常黒字、3月として過去最大、所得収支・貿易黒字が

ワールド

米、メキシコからの生体牛輸入など一時停止 害虫巡り
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 3
    「隠れ糖分」による「うつ」に要注意...男性が女性よりも気を付けなくてはならない理由とは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 8
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中