最新記事

日本社会

日本企業の意味のないムダ仕事トップ3 朝9時に全社員が出社しても1円にもならない 

2021年7月5日(月)12時25分
澤 円(株式会社圓窓代表取締役) *東洋経済オンラインからの転載

本来、「報告」と「連絡」は過去から現在までにすでに起きたことについての話ですから、ITツールを用いて自動化し、効率的にデータ化できるはずです。データは「見ればわかる」もの。それをわざわざ時間を使って、人を集めて報告させることにまったく意味はありません。連絡はいまならチャットで十分で、電話する必要すらありません。

また、出席者は会議のために移動しなければなりません。コロナ以降だいぶ考え方に変化が現れているようですが、ビジネスにおいて移動時間はなにも生み出さない時間ですから、これもまたムダです。

つまり、会議という立派な名目で、報告というムダなことをさせ、さらに移動という時間のムダまで発生させている。おそらくは、「目上の人に直接会わずに報告や連絡をするのは失礼だ」という意識が広く強く共有されているため、利益を度外視してまでムダな時間を費やしてしまうのでしょう。

一方、「相談」は未来の話をすること。僕はこの部分は対面で話す価値があると考えています。つまり、「未来のことを最大化」するために働くというわけです。「報連相」でいう「相」の部分だけがゼロを1にする、生産のための時間になっていくのです。

これからどうするか、次の一手はどうするかという未来の話は、生産的で楽しいものです。楽しい仕事だけが残るわけで、楽しい仕事なら誰もが高いモチベーションで臨んでくれるにちがいありません。誰だって、夢やビジョンを語るのは楽しいのです。

「時間はなんのためにあるか」と考えるとき、未来をよくするために使うところにまで思考を持っていかなければなりません。結果を出せるビジネスパーソンに共通しているのは、「未来志向」を持っていることだと僕は思います。

そこで、今日からあなたの働き方を変えるために必要なのは、高額なツールを買うことでもコンサルタントに頼ることでもなく、こんなマインドセットを持つこと。過去のことに時間を使わないためには、どうすればいいだろうか。過去に学ぶ必要はありますが、過去の出来事そのものが変わることはありません。過去に起きたことに一生懸命に時間を使うのは、とてつもなくムダなことなのです。

[ムダな仕事3]毎日、会社に行く

みんながいる会社に行きさえすれば、自動的に部署やチームに組み込まれて、そこで与えられた仕事に取り組むことができる。これまでは多くの人が、そんなふうに思い込んでいました。しかし、仕事とは本来、なんらかの価値を創造することのはずです。

仕事の本質を理解せずに、ただ会社に行って与えられた作業をこなすことを仕事だと勘違いしていた人たちは、コロナ禍で「出勤」できない状態を強いられたとき、「いままで自分はなにもしていなかった」と身をもって体験したのではないかと思うのです。本当は仕事ができていなかった人が、あぶり出されてしまったということです。

会社という場に依存している人が日々取り組む仕事のほとんどは、まさに「出勤」することにひもづいた作業なのだということが、「出勤」という「あたりまえ」が覆されたとき、はじめて見えてきたのです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

「ガザは燃えている」、イスラエル軍が地上攻撃開始 

ビジネス

英雇用7カ月連続減、賃金伸び鈍化 失業率4.7%

ワールド

国連調査委、ガザのジェノサイド認定 イスラエル指導

ビジネス

25年全国基準地価は+1.5%、4年連続上昇 大都
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中