最新記事

日本社会

日本企業の意味のないムダ仕事トップ3 朝9時に全社員が出社しても1円にもならない 

2021年7月5日(月)12時25分
澤 円(株式会社圓窓代表取締役) *東洋経済オンラインからの転載

多くの会社は、工場や店舗や工事現場を基準にして、自分たちの出社時間を朝8時半や9時に定めています。「現場でトラブルがあったときに連絡がつかなければ問題になる」とは、もっともらしい理由かもしれません。でも、これだけスマートフォンが普及した時代に、来るかどうかもわからない連絡をオフィスで待ち受ける必要が、はたしてあるのでしょうか?

あるいは、「会社に重要な書類が置いてあるんだ」という理由かもしれません。確かにそのとおりです。しかし、その会社は交通機関が止まった瞬間に、すべての機能が停止するということになってしまいます。

つまり、BCP(事業継続計画)がむちゃくちゃなわけです。むしろ、どこからでも情報にアクセスできるようにするなどして、いかなるときも業務が止まらないようにすることのほうが、よほど重要です。

業務の効率だけを考えれば、全社員が同じ時刻に出社する必然性はありません。なのに、なぜみんなが朝9時にそろっていなければならないのでしょうか。結局のところ、こんな理由だったりします。「不公平になる」「現場は早く出ているのだから、本社や本部もそうするほうがいい」という考え方です。

現場では、時間で区切ってタスクをまわさなければならない面もあるので、みんなが同じ時間に出社し、働き始めなければならないこともあるでしょう。しかし、本社や本部の社員にはなんの関係もなければ、必然性もありません。ましてや朝9時に一斉に出社するので、電車も道路も混んでいるし、エレベーターには長蛇の列。こんなことでは社員の生産性は上がるはずがありません。朝7時に出社して15時に仕事を終わらせて帰るほうが、ずっとマシでしょう。もちろん、昼ごろに出社して夜に終わるというパターンだってありですよね。

こういった考え方ができない会社がなぜ多いのか。僕は、みんなの心のどこかに「現場は早くから動いていて悪いから、それに合わせよう」という日本人特有の気質があるからではないかと感じてしまうのです。

[ムダな仕事2]「報告」「連絡」ばかりの会議をしている

かつてマイクロソフト社にいたとき、僕のチームに日本企業の人たちがビジネスインターンとして常駐していました。ある日、僕はそのうちのひとりの言葉に衝撃を受けました。彼は、こう言ったのです。

「会議でなにかが決まるところをはじめて見ました」

僕は、心底驚きました。会議でなにも決めないなんて僕は絶対にしないし、そもそもなにも決まらない会議を招集すること自体ありません。

「日本企業にはムダな会議が多い」とは昔から言われていることですが、いつになっても改善されません。なぜか。それは、「会議でしたほうがいいこと」を理解していないからだと僕は考えています。

たとえば、ビジネスパーソンにとって「報連相」という言葉はおなじみですよね。このなかの「報告」に使うレポート作成に膨大な作業が発生していたり、「連絡」を対面で行ったりすることで時間を浪費している傾向があるのです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

GDPギャップ、25年4―6月期は需要超2兆円=内

ビジネス

午後3時のドルはドル147円付近、売り材料重なる 

ワールド

ロシア、200以上の施設でウクライナの子どもを再教

ワールド

アングル:米保守活動家の銃撃事件、トランプ氏が情報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中