最新記事

マイク・タイソンやJay-Zも...黒人起業家が大麻ビジネスに続々参入の深い訳

BLACK STARTUPS GO GREEN

2021年4月16日(金)19時10分
ジョン・ジャクソン
大麻ビジネス(イメージ)

NIKOLAY PANOMARENKO/ISTOCK

<合法化の拡大が新規参入のチャンスに黒人起業家が大麻ビジネスに新たな風を起こし始めた>

活況に湧く大麻ビジネスの世界で、黒人が経営する企業が次々に誕生している。この分野でも多様性の欠如は依然として深刻な問題だが、黒人起業家たちは、有色人種が不当に多く罰せられてきたアメリカの「麻薬戦争」に新たな1章を書き加えようとしている。

アメリカでは現在36州(係争中のミシシッピ州を含む)で、医師が処方する医療用大麻の使用が合法とされている。嗜好目的の使用は、ニューヨーク州で今年3月末に解禁する法案が可決されるなど、15州とコロンビア特別区(首都ワシントン)、北マリアナ諸島、グアムで合法とされている。さらに16州と米領バージン諸島で、大麻の少量の所持・使用が非犯罪化されており、逮捕されずに罰金刑のみとなる。

ただし大麻を取り締まる法律を緩和する州がさらに増えても、引き続き残る薬物規制の矢面に立たされているのは今なお有色人種だ。米自由人権協会(ACLU)によると、アメリカ国内での2018年の大麻の使用率は黒人と白人で同程度だったにもかかわらず、大麻所持で逮捕される確率は黒人が白人より3.6倍高くなっている。

「麻薬戦争で最も大きな打撃を受けて破滅に追いやられたのは黒人コミュニティーで、その次がブラウン(褐色)コミュニティーだ」と、非営利組織サクセス・センターズのアンジェラ・ホワイトは言う。

パンデミックの中でも大きな成長

サンフランシスコのベイエリアを拠点とするサクセス・センターズは、社会で疎外されているコミュニティーに属する人々が就業のためのリソースを見つけてスキルを学ぶ手助けをし、起業なども支援している。調剤薬局で働いた経験がある黒人女性のホワイトは、「産業公正プログラム」の責任者として、特に大麻業界への就職をサポートしている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で、米経済の大半の分野が苦しんだこの1年、大麻関連のビジネスは貴重な明るい話題を提供してきた。

コンサルティング会社ホイットニー・エコノミクスと大麻メディアのリーフリーが作成した年次報告書によると、20年の大麻関連のフルタイム雇用は7万7300人増えて計32万1000人。伸び率は前年比のほぼ倍だ。マリフアナ・ビジネス・デイリーが発表しているリポート「ファクトブック」の最新版によると、大麻の経済効果は22年までに最大770億ドルに達する見込みだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中