最新記事

EV

中国EVスタートアップ、コロナショックから活気取り戻す 好調なテスラが刺激

2020年9月30日(水)19時06分

フー氏は「現在のスマートカー、コネクテッドカーはまだ、スマートではない。やっと玄関を出たところで、初代のiPhone1の段階にあると言えそうだ」と説明する。

ただ、徐々に開発が進み「近い将来にiPhone8、9、10にたどり着けるだろう」と見ている。

また、燃料費の安さも、EV人気の重要な要素となっている。最近、ガソリン車から愛馳汽車のスポーツ多目的車(SUV)「U5」に切り替えた江蘇州蘇州市の男性は、自宅の車庫に充電設備を整えて使い始めたが「ガソリン車に比べると(燃料費は)無きに等しい」と語る。

個人が保有

中国のEVスタートアップ「第1陣」は主に、ライドシェア企業の滴滴出行や配車サービス企業に納入やリースを行っていた。EV促進政策の恩恵を受けていた企業だ。

しかし、愛馳汽車や上海蔚来汽車のトップは、今市場を引っ張っているのは個人や、EVへの純粋な関心だと実感している。

特に顕著な例は、テスラのセダン「モデル3」の好調ぶりだ。同車種は購入補助後の価格が27万元(3万9750ドル)と、多くの顧客が比較的手ごろと考える値段設定となっている。

拜騰汽車や奇点汽車のように、昨年の落ち込みからまだ、立ち直れない企業があるのも確かだ。

しかし、スタートアップ幹部らは、今年は昨年に比べて資金調達が著しく容易になり、自信も増してきたと語っている。

需要は好調

新エネルギー車の販売は1年余り前から落ち込み始め、今年6月まで12カ月にわたって前年同月比で減少を続けていた。だが、今年7月は19.3%増と反転し、8月には26%も増えた。

LMCオートモティブの予想では、新エネルギー車の乗用車の販売は今年8.9%減少するが、来年は48.4%増えて152万台に達し、全乗用車販売の7%を占めそうだ。

上海蔚来汽車の場合、第2・四半期に販売台数が急増して売上総利益率が黒字転換。営業損失も大幅に縮小した。

同社のリー最高経営責任者(CEO)は、ロイターに対し「需要は非常に強い。今わが社に新車を注文しても、納入まで相当長い間お待たせすることになる。わが社にとって、第4・四半期の一番の課題は生産能力の向上だ」と語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中