最新記事

日本経済

赤羽国交相「GoToトラベル」東京除外で実施に専門家ら了承 感染防止策を守らぬ事業者は参加取消も

2020年7月17日(金)14時00分

赤羽一嘉国土交通相(写真)は閣議後会見で、国内旅行の代金を一部割り引く需要喚起策「Go To トラベルキャンペーン」について、東京都を目的地とする旅行、都内居住者の旅行を対象から除外すると正式に表明した。写真は都内で昨年9月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

赤羽一嘉国土交通相は17日の閣議後会見で、国内旅行の代金を一部割り引く需要喚起策「Go To トラベルキャンペーン」について、東京都を目的地とする旅行、都内居住者の旅行を対象から除外すると正式に表明した。都内で新型コロナウイルスの感染者が急増しているためで、予約分を含めて割引対象から外す。16日夜に開かれた新型コロナ感染症対策分科会で提示され、専門家からの了承を得た。

東京発着が対象外となることについて赤羽国交相は「断腸の思い」と語り、「一定の経済的な影響が出る」との認識を示した。キャンペーンの実施はウィズ・コロナ時代における感染を拡大させない旅行のあり方を確立する「大きなチャレンジだ」と説明し、理解を求めた。

専門家からの提言では、感染が落ち着いた場合は東京発着を対象に戻していいとしており、現時点では時期は不明だが「一刻も早く都民の方にも旅行に参加できるよう国交省挙げて全力を尽くす」と語った。

国交相によると、専門家からは「若者の団体旅行、重症化しやすい高齢者の団体旅行、大人数の宴会を伴う旅行など感染リスクの高い旅行は控えることが望ましい」との指摘もあったといい、「これらの実施に協力いただけない場合は、本事業による支援を受けられないことも考えている」と話した。

観光庁は、こうした団体旅行を「一律に線引きするのは難しい」ため対象とするかどうかを今後検討していく方針。また、割引を期待して旅行を予約した人がキャンセルした場合は「国として補償する考えはない」(赤羽国交相)という。

政府はキャンペーンを全国一律で始める予定だったが、地方自治体や与・野党、医療関係者などから批判が続出していた。東京発着分以外については、予定通り22日から実施する。キャンペーンに参加する旅行・宿泊事業者には、旅行者の検温チェック、共用施設利用での人数・時間制限などの感染防止策を参加条件として義務付け、守られていない場合は参加を取り消す。

(白木真紀 編集:田中志保)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・感染防止「総力挙げないとNYの二の舞」=東大・児玉氏
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・東京都、新型コロナ新規感染286人で過去最多を更新 「GoToトラベル」は東京除外で実施へ
・インドネシア、地元TV局スタッフが殴打・刺殺され遺体放置 謎だらけの事件にメディア騒然


20200721issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月21日号(7月14日発売)は「台湾の力量」特集。コロナ対策で世界を驚かせ、中国の圧力に孤軍奮闘。外交・ITで存在感を増す台湾の実力と展望は? PLUS デジタル担当大臣オードリー・タンの真価。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンス

ビジネス

ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレ

ビジネス

FRB、関税の影響が明確になるまで利下げにコミット

ワールド

インドとパキスタン、停戦合意から一夜明け小康 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 3
    「隠れ糖分」による「うつ」に要注意...男性が女性よりも気を付けなくてはならない理由とは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中