最新記事

新しい生活様式

新型コロナが促す「自動車通勤」 新車販売につながるかは不透明

2020年6月9日(火)17時15分

新型コロナウイルス禍を背景に、ペーパードライバーを「卒業」しようとする人が増えている。写真は都内にある自動車会社のショールーム。2016年2月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

新型コロナウイルス禍を背景に、ペーパードライバーを「卒業」しようとする人が増えている。人との接触が多い電車などに比べ感染リスクが低いとして車通勤を推奨する企業もあり、マイカーの価値も見直されている。自動車利用では新車購入以外にもシェアリングやリースなど複数の選択肢があり、潜在需要が新車販売の回復につながるかは不透明だ。

車移動を再評価する機運

埼玉県在住で医療機器メーカーに勤める川又亮太さん(32)はコロナを機に脱ペーパードライバーを果たした1人だ。10年以上前に免許を取得したものの、もともと運転に苦手意識があった上、日常生活では運転しなくても不便はなかった。

だが、5月の大型連休後から会社が契約したレンタカーで車通勤を始めた。会社が感染予防のため電車通勤からの切り替えを指示したためだ。ペーパードライバー専門の出張教習を受講し、今では便利さを実感しており「今後はマイカーを買いたい」と話す。

コロナを背景とした脱ペーパードライバーは首都圏で増えている。1都3県でペーパードライバー専門の出張教習を行うサワムラガク東京(東京・練馬区)の代表社員、沢村秋岳氏は「4月の緊急事態宣言後から、コロナ関連での受講者は増えている」と語る。

例えば、ある医療従事者はコロナ患者を受け入れている病院に勤めており、他人への感染リスクがある公共交通機関から車での移動に切り替えた。テレワークの普及で交通の便が良い首都圏から車移動が中心の地方へ移住を決めた会社員もいる。

警察庁によると、昨年の運転免許保持者は約8200万人。このうち5年間無事故・無違反の優良運転者(ゴールド免許証)の更新は近年56%超で推移しており、沢村氏は優良運転者の約60%がペーパードライバーとみている。

自動車の利用拡大は駐車スペースの稼働状況からもうかがえる。駐車場予約アプリを運営するakippa(大阪市)によると、緊急事態宣言発令から1週間(4月7日―13日)のアプリ経由での通勤・通学目的の利用は、コロナ流行前(2月4日ー10日)に比べ東京都で2.3倍に増加。宣言解除後(5月26日―6月1日)も全国で2倍、東京都は約4倍、都内有数のビジネス街がある千代田・港・中央の3区では平均で約5倍になった。同社広報は「宣言解除後も車通勤を続けている人や始めた人が多い」と話す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中