最新記事

日本政治

持続化給付金の事業委託めぐる疑惑、野党追及 2次補正分も同法人の可能性

2020年6月5日(金)20時16分

2次補正分の公募未定、協議会へ再度発注か

「持続化給付金」は2次補正で1兆9400億円を追加計上。収入を「雑所得」や「給与所得」で計上していたフリーランスも持続化給付金の対象とすることなど制度を拡充したことも含め、追加の予算計上となった。これに関する事務委託費は850億円。現時点では「公募するかどうか未定」(経産省関係者)という。ただ「予算成立後すぐに申請を受け付け、支払業務を開始できるようなシステムを短期で作り上げ、それが安価というのは見込めない」(前出の政府関係者)ことから、現状のシステムやコールセンター、サポートセンターなどを有効に使うためには「サービスデザイン推進協議会」に発注する可能性が高い、という。

梶山経産相は5日、持続化給付金事業の事務費について、「現在の(1次補正での)契約額の範囲内で当面継続できるものと承知している」としたうえで「(サービスデザイン推進)協議会ありきで随意契約を行うことは考えていない」と発言。「今後、契約額に不足が生じると分かった段階で透明性、公平性を確保した手続きを経て適切に対応したい」と述べた。

事業委託が不透明だと野党が追及する中で、梶山経産相は給付金事業の入札に関連する資料を来週初めにも国会に提出する考えを示している。

Gotoキャンペーン、公募いったん中止

事務委託費については、もう一つ問題が指摘されている。新型コロナ収束後に旅行や飲食の消費を喚起するために1次補正予算に1兆6794億円が計上された「Gotoキャンペーン」。そもそも、この段階で収束後の消費喚起策の必要性があるのかという議論もあった予算だが、事務委託費は上限3095億円で、事業費の18.4%。

公募は6月8日が締め切りになっていたが、経産省は5日、いったん公募を中止すると発表。これまでひとつの事務局を考えていたが、構造が複雑になるため、観光、飲食、イベントという3つの分野で各省庁がそれぞれ事務局を選ぶ形に変更する。経産省関係者は「今から各省が検討する。できるだけ早く準備する」とした。公募を中止したことで、キャンペーン実施時期にも影響が及ぶ可能性も出てきた。

*Gotoキャンペーンの記述を加えました。

清水律子 (編集:石田仁志、青山敦子)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染28人 4日連続で2桁台
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・イギリス、新型コロナ死者5万人突破 世界で2番目の多さ
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200609issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、7―9月純利益2.5兆円 CFO「

ワールド

中国CO2排出量、第3四半期は前年比横ばい 通年で

ビジネス

インフレリスク均衡、金利水準は適切=エルダーソンE

ワールド

英7─9月賃金伸び鈍化、失業率5.0%に悪化 12
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入…
  • 7
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 8
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中