米FRB、新型コロナウイルス対応で数百兆円規模の金融政策 リーマンショック当時のモラルハザードの批判なし
異論なしの世界
リーマン・ショックが起きた08年は対照的に、救済策に異議を唱える声がFRBの内外に渦巻いた。複数のFRB当局者は、いくつかの貸し出しプログラムが金融機関の問題な行動を肯定しかねないと指摘していた。リーマン・ブラザーズに救いの手を差し伸べず、破綻を容認したのもそうした疑念が1つの理由だった。
当時はタカ派のホーニグ・カンザスシティー地区連銀総裁やプロッサー・フィラデルフィア地区連銀総裁だけでなく、中間派のロックハート・アトランタ地区連銀総裁なども警鐘を鳴らした。
各種救済策をまとめたバーナンキ氏でさえ、リーマン破綻直後の同9月、これらの措置で発生する財政およびモラルハザードのコストと、何もしなかった場合に金融システムと実体経済が受ける恐れがある深刻な影響という対立する要素を前に、とても混乱していると打ち明けた。
一方、議会では上院銀行委員会メンバーだったジム・バニング議員が09年末のバーナンキ氏再任承認公聴会で「あなたこそが、モラルハザードの定義そのものだ」と言い放った。
足元では、こうした緊迫感が、完全に消えてなくなっている。
(Ann Saphir記者 Lindsay Dunsmuir記者)

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