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「米経済再開、5月1日目標はやや楽観的過ぎ」感染研ファウチ所長

2020年4月15日(水)09時00分

米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は14日、新型コロナウイルス感染拡大でほぼ休止状態となっている米経済活動を5月1日に再開する目標は「やや楽観的すぎる」との認識を示した。13日撮影(2019年 ロイター/LEAH MILLIS)

米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は14日、新型コロナウイルス感染拡大でほぼ休止状態となっている米経済活動を5月1日に再開するというトランプ大統領の目標は「やや楽観的過ぎる」との認識を示した。

米政権の新型コロナ対策チームの一翼を担うファウチ所長はAP通信とのインタビューで、経済活動の再開に当たり「有効かつ信頼できる体制を整える必要があるが、その状況にはまだ至っていない」とし、5月1日に再開を目指す目標は「やや楽観的過ぎる」可能性があると語った。さらに経済活動の再開は全米で一斉に行うのではなく、地域ごとに段階的に実施する必要があると強調した。

ファウチ所長はまた、新型コロナ感染拡大防止に向けたソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)などの一連の措置緩和前に、検査や追跡体制を十分に整える必要があると述べた。

トランプ氏は、新型コロナ感染拡大を防止するために導入した国民向けの行動指針の適用期限を4月末までに延長しており、一部地域では5月1日をめどに再開したい考えを示唆している。

また、13日には米経済活動の再開時期は各州の知事ではなく、自身が決定すると表明した。

これに関し、米国内で感染状況が深刻となっているニューヨーク州のクオモ知事は14日、「トランプ大統領が私の州の市民の公衆衛生を脅かす方法で経済再開を命じれば、私は従わない」と反発した。

ニューヨークをはじめ北東部7州の知事は13日、経済活動の段階的な再開と外出制限の緩和に向けて、連携して戦略を策定することで一致。カリフォルニアなど西部3州も同様の連携で合意した。

トランプ氏は14日のツイッターへの投稿で、クオモ知事を個人攻撃したほか、民主党の知事ら全般に対する批判を展開。指導者への反逆だとして取り合わない姿勢を示した。

ロイターの集計によると、米国で確認された新型コロナウイルス感染症による死者は14日、累計で2万5700人を突破した。感染者も60万人を超え、他国に比べ少なくとも3倍の水準に達した。

*内容を追加しました。

[ロイター]


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