最新記事

日本経済

東京株式市場、日経平均は反発 予想を上回った中国PMIを好感

2020年3月31日(火)13時12分

前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比148円53銭高の1万9233円50銭となり、反発した。写真は都内の株価ボード。2013年12月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比148円53銭高の1万9233円50銭となり、反発した。前日の米国株式市場が反発したほか、立ち会い時間中に発表された中国のPMIが予想を上回ったことが好感され、景気敏感株を中心に買い優勢となった。きょうは年度末最終で期末株価が注目されるが、そうした中で、日銀が購入した上場投資信託(ETF)の買いコストとなる損益分岐点の攻防が意識されている。

30日の米国株式市場はヘルスケア関連株などに買い戻しが入り反発。投資家は新型コロナウイルスの経済的損失を見極めながら、経済が持ち直しに転じた際に値上がりが見込まれる銘柄の物色を進めているという。ただ、株式投資家の不安心理の度合いを示すボラティリティー・インデックス(VIX指数)は依然として2008年の金融危機以来の水準に高止まっている。

また、中国国家統計局が31日発表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は52と、過去最低を記録した前月(35.7)から上昇し、景況拡大と悪化の分かれ目である50を予想外に上回った。ロイターがまとめたアナリスト予想は45.0だった。これを受けて「中国のPMIに助けられた格好。期末の思惑が生じやすいきょうは波乱が避けられそうだ」(東洋証券・ストラテジストの大塚竜太氏)との声が聞かれ、その後は強もちあいに終始している。

個別では、ソニー、キーエンス、富士通、任天堂など昨年来、相場をリードしてきた銘柄群に高い銘柄が目立ったが「ディフェンシブ系が売られ、景気敏感株が買われるなど相場の中身が変化した」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏)という。

一方、10日に黒田東彦総裁が国会答弁で明かした保有ETF損益分岐点は日経平均で1万9500円で、この水準が意識されているが、「総裁の国会答弁後、安値で購入し続けた経緯があり、ナンピン買いをして10日時点よりも購入コストが下がったと考えられる。現在の水準を保つなら、ギリギリで期末は買いコストを上回るのではないか」(国内証券)との指摘もあった。 TOPIXは0.29%高で午前の取引を終了した。東証1部の売買代金は1兆1128億2600万円。東証1部の33業種では、石油・石炭製品、鉱業などの上昇が目立ち、鉄鋼、銀行業などが安い。 東証1部の騰落数は、値上がりが1151銘柄に対し、値下がりが958銘柄、変わらずが54銘柄だった。

日経平均は強もちあい。期末株価が注目される中、日銀が購入した上場投資信託(ETF)の買いコストとなる損益分岐点の攻防が意識されている。

10日に黒田東彦総裁が国会答弁で明かした保有ETF損益分岐点は日経平均で1万9500円。購入はTOPIX型であるため、単純に10日終値のNT倍率14.1倍で計算すると、TOPIXでは1380ポイント台だ。現在値は1430ポイントであり、損益分岐点を超えてきたと推定することができる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中