最新記事

日本政治

安倍首相、在任歴代最長へ 安定政権の柱「アベノミクス」の成績表

2019年11月19日(火)10時09分

20日に首相在任期間が歴代最長となる安倍晋三首相だが、経済運営では試練に直面している。写真は天皇陛下の「即位礼正殿の儀」を終え、皇居を後にする安倍首相。10月22日撮影(2019年 ロイター/Soe Zeya Tun)

20日に首相在任期間が歴代最長となる安倍晋三首相だが、経済運営では試練に直面している。米中貿易摩擦で世界経済の経済が減速する中、2019年7─9月実質国内総生産(GDP)の成長率は前期比0.1%増(年率換算0.2%増)とほぼ横ばいにとどまった。10─12月期は10月の消費税率引き上げ直前の駆け込み需要の反動に加え、台風などの被害の影響もあり、マイナス成長は避けられない見通しだ。

安倍首相は2012年12月に第2次安倍政権を発足させて以降、大胆な金融政策と機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」を打ち出し、デフレ脱却に向けた経済政策「アベノミクス」を推し進めてきた。その効果もあり、日本経済に暗い影を落としていた円高は円安方向に転換。2017年の日経平均は年末終値ベースで1991年以来26年ぶりの高値をつけた。前回、景気後退が始まったのは2012年4月で、終了したのは2012年11月。安倍首相が首相に返り咲いた2012年12月以降、景気後退に陥ったことは一度もなく、景気拡大はいざなみ景気(2002─08年)を超え、戦後最長となったもよう。

しかし、足元では企業業績に陰りが見え始めている。SMBC日興証券の調べによると、上場企業の業績は金融危機後、初めて2期連続の減益となる見通しだ。現在は海外経済の減速を背景とした外需の弱さを内需でカバーする状況が続いているが、海外経済の回復がもたつけば、外需と内需の「デカップリング」で景気を支える構図が崩れる可能性もある。

総務省の「家計調査」によると、2人以上の世帯の9月の消費支出(変動調整値)は1世帯当たり30万0609円と、前年同月比(変動調整値)で実質9.5%増となった。伸び率は、前回増税時前の2014年3月の同7.2%増を上回り、比較可能な2001年1月以降で最大となった。政府の需要平準化策で駆け込み需要は発生しないとみられていたが、ふたを開けてみれば前倒し消費が発生していた。市場では駆け込みの反動を懸念する声が出ている。

自民党の山本幸三・元地方創生担当相は「アベノミクスのスタートは大成功だったが、消費税引き上げのタイミングを間違ったために頓挫してしまい、なかなか回復できない状況にある」と指摘。「今後の試金石は補正と来年度予算をどこまで思い切ってできるかだ」と述べ、大胆な財政支出を求めた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:高級品業界が頼る中東富裕層、地政学リスク

ワールド

トランプ氏、イラン制裁解除計画を撤回 必要なら再爆

ワールド

トランプ氏、金利1%に引き下げ希望 「パウエル議長

ワールド

トランプ氏「北朝鮮問題は解決可能」、金正恩氏と良好
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 5
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 6
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 7
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中