最新記事

日本政治

安倍首相、在任歴代最長へ 安定政権の柱「アベノミクス」の成績表

2019年11月19日(火)10時09分

東京五輪後、アベノミクスは崩壊する?

日銀が2013年4月に量的・質的金融緩和を導入してからすでに6年半が経過しているが、市場では金融緩和の効果は限界に近づきつつあるとの見方が目立つ。また、公共事業によるテコ入れも人手不足という制約に直面しており、2020年東京五輪・パラリンピック後の日本経済失速シナリオは現実味を帯びている。

山本氏は「補正予算で国債を発行してもらって、日銀がどんどん買えばいい」と述べ、最低でも5兆円、可能であれば10兆円を上回る補正予算の編成が必要との認識を示した。

日銀は10月30─31日の金融政策決定会合で、政策金利を引き下げる可能性があることを明記した新たなフォワードガイダンスを導入した。しかし、市場では7月声明文の「先行き、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、躊躇(ちゅうちょ)なく、追加的な金融緩和措置を講じる」、9月声明文の「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れについて、より注意が必要な情勢になりつつある」も含め、相次ぐ口先介入は実弾を撃てない裏返しとの見方が出ている。

金融政策の手詰まり感が鮮明になる中で、一部に財政支出を期待する声もあるが、財務省が8日発表した9月末現在の国の借金(国債や借入金など)は1104兆9286億円と、GDPの2倍の規模に達している。第2次安倍政権が始まった2012年12月以来、約30兆円の経済対策が組まれており、市場では財政規律の観点から大盤振る舞いを批判する声もある。

足元では労働力不足で公共事業の消化率が低下しており、財務省内には「補正を組んでも効果が薄い」との見方も出ている。

国民民主党の大塚耕平参院議員は「安倍政権の6年間、産業構造や技術革新が加速的に激変したが、日本はそれに対応できなかった」と指摘。「日本は物価が2%になればすべてが好循環するといってマクロ経済政策に没頭したが、今はそれが問題なのではない」と述べ、旧来の経済政策にとどまる政府の対応を批判した。

(金子かおり 志田義寧)

[東京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米上院共和党、EVの新車税額控除を9月末に廃止する

ワールド

米上院、大統領の対イラン軍事力行使権限を制限する法

ビジネス

バフェット氏、過去最高のバークシャー株60億ドル分

ビジネス

トランプ大統領、「利下げしない候補者は任命しない」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 5
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 6
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 7
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中