最新記事

金融

金融市場にリスクオフのマグマ 株高でも「恐怖指数」先物売りが過去最大

2019年11月6日(水)17時32分

米中通商協議の進展期待の高まりを背景にリスクオン相場が続くなか、逆回転を起こしかねない「マグマ」も溜まっている。写真は弱気を意味する「ベア(クマ)」と強気を意味する「ブル(オウシ)」の像。2015年12月17日、ドイツのフランクフルト株式市場前で撮影(2019年 ロイター/Ralph Orlowski)

米中通商協議の進展期待の高まりを背景にリスクオン相場が続くなか、逆回転を起こしかねない「マグマ」も溜まっている。市場が注視するのは、過去最大規模に積み上がった投機筋のVIX指数先物ショートポジションだ。先行きへの期待感が原動力というムード先行の相場だけに、ボラティリティの急上昇には警戒感も強い。

株高なのに上昇した「恐怖指数」

「恐怖指数」の異名を持つシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>。米株の過去最高値更新に沸く4日の市場で、じわりと切り上がった。

5日時点で13.10ポイントと、水準自体は過去と比較して低い。米中通商協議に懸念が強まった今年8月は20ポイントを越えていた。米株の最高値更新というタイミングで、利益確定的にVIX先物のショートポジションが多少買い戻され、VIX指数が上昇しただけの可能性もある。

しかし、市場参加者は神経を尖らせてその動向を見つめている。通常、株高なら低下するボラティリティが逆に上昇したということだけでなく、VIX先物が、足元のリスクオン相場をリスクオフに転換させるだけの「エネルギー」を蓄えているためだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)が1日に発表した、投機筋のVIX指数先物のネットショート<11170E1NNET>は、18万7948枚。今年4月の18万0359枚を超え、比較検証できる2006年8月以降で、過去最大に積み上がった。

「過去をみると、14万枚を超えると、ポジションの巻き戻しによるVIXの上昇を伴い、S&P500指数<.SPX>が下落している」と、みずほ証券のシニアテクニカルアナリスト、三浦豊氏は指摘する。

昨年2月の「VIXショック」

市場の一部で警戒されているのは昨年2月の再現だ。VIX指数が一時50ポイントまで急上昇。連動して株価が急落する「VIXショック」を巻き起こしたからだ。

ボラティリティと連動するファンドを組むリスク・パリティ・ファンドからの株売りが出たほか、低いボラティリティ(つまり米株が急変動しない)に賭けていた上場投資商品(ETP)の価格が急落、早期償還も相次いだ。

「リスクオフにつながるネガティブな材料が出れば、巻き戻しが必ず起きる。(投機筋のVIX指数先物のネットショートは)株価にも大きな影響を与える規模に積み上がっている」とマッコーリーキャピタル証券の増沢丈彦氏は警戒する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

26年銅市場は供給過剰の見通し、米ゴールドマンが価

ワールド

米国の外国船内航海運認める措置、国内燃料供給に寄与

ビジネス

スペースXがIPOの詳細説明、6月上旬にロードショ

ワールド

アングル:不明兵救出劇をことさら強調 トランプ氏、
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 4
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 5
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 8
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 9
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 10
    スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のア…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 3
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中