最新記事

ファッション

インスタグラムに欧州高級ブランドが本腰 ロゴを無断使用されたグッチの神対応とは?

2019年6月17日(月)16時22分

グッチ、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなど、値の張る高級ブランドが、ソーシャルメディアを通じて、若い顧客層を開拓しようとあらゆる手段に巨額を投じている。写真は2018年、ウィーンのルイ・ヴィトン店舗前(2019年 ロイター/Lisi Niesner)

グッチ、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなど、値の張る高級ブランドが、ダンスを中心にしたファッションショーからアドバイザーチームに至るあらゆる手段に巨額を投じている。

その狙いはソーシャルメディアを通じて、若い顧客層を開拓することだ。

艶やかなフルカラーのページ広告を出すには数万ドルはかかる雑誌広告とは違い、参入障壁がない、ファッショニスタに人気のインスタグラムなどのサイトは、たとえ無名ブランドでも、気の利いた、あるいは派手なキャンペーンを打てば注目を集めることができる。

だが、LVMHやケリングなど、資金潤沢な高級ブランドグループがソーシャルメディア向け予算を拡大させるにつれて、大量のマネー投入が状況を一変させつつある。

かつては規模の大小を問わずブランドが対等に競い合える場だとみなされていたソーシャルプラットホームにおいても、ライバルの存在をかき消すだけの財力がこれらのグループにはあるからだ。

ブロガーやインフルエンサーの活用が主流になったことで、400万人規模のフォロワーを抱える彼らがスポンサー付きの投稿をする金額が、1本当たり2万ユーロ(約220万円)を軽く超える水準にまで高騰している、とマーケティング専門家は指摘する。

ほんの5年前、中小ブランドに比べ、ソーシャル上での積極さに欠けていた代表的高級ブランドだが、いまや競合他社を一足飛びに追い抜こうとしている。

急成長するグッチを擁するケリングは7日、2018年メディア予算の半分をデジタル広告に投じたことを明らかにした。3年前の20%から大幅増だ。同社は昨年、ソーシャルメディア上で最も高いパブリシティ効果を得た、とデータ追跡企業トライブ・ダイナミクスは指摘する。

「広告、そして願望を生み出す手法を巡り、われわれの考え方は大きく変化している」。ケリングのデジタル広告部門を率いるグレゴリー・ブッテ氏は記者団に語った。

「あらゆるタイプのソーシャル・プラットホームが出揃ったいま、さまざまなタイプの動画や画像が必要となっている。ユーチューブ向けコンテンツ制作は、テレビの場合とは違う」とブッテ氏は語った。

ケリングは、宣伝予算の総額を明らかにしていない。

同じくパリに本拠を構えるLVMHも2018年、マーケティング予算を過去7年で最も大きく増額。その総額は56億ユーロと、グループ収入の12%に相当する。これは同予算を公表している大半のブランドを上回る額であり、唯一これを上回ったのは、ネット上での主要トレンドセッターでもある未公開企業のシャネルだけだ。

LVMHの売上高をけん引するルイ・ヴィトンでも、マーケティング費用の半分をデジタルメディアに配分している。同ブランドのマイケル・バーク最高経営責任者(CEO)が今週行われた非公開のブリーフィングで明らかにした、とシティのアナリストが語った。

LVMHはコメントしなかった。

ルイ・ヴィトンや同じLVMHグループのクリスチャン・ディオール、マーク・ジェイコブス、ジバンシィは、トライブ・ダイナミクスが昨年選んだ「トップ10」ブランドに名を連ねており、これにはケリング傘下のサンローラン、バレンシアガもランクインした。

トライブ・ダイナミクスは、スポンサー料を受けていないコンテンツも含め、ソーシャルメディアにおける話題性がどれだけの価値を生んでいるかを数量化してこのランキングを算出している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン紛争、レバノンに拡大 クウェートが米軍機を誤

ビジネス

NY外為市場=円・ユーロ下落、イラン情勢受けた原油

ワールド

米軍、作戦開始以降イランで1250超の標的攻撃 艦

ワールド

イラン外相「米は外交裏切った」、地域諸国に圧力呼び
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 7
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 8
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    【トランプ関税はまだ序章】新関税で得する国・損す…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中