インスタグラムに欧州高級ブランドが本腰 ロゴを無断使用されたグッチの神対応とは?

グッチ、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなど、値の張る高級ブランドが、ソーシャルメディアを通じて、若い顧客層を開拓しようとあらゆる手段に巨額を投じている。写真は2018年、ウィーンのルイ・ヴィトン店舗前(2019年 ロイター/Lisi Niesner)
グッチ、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなど、値の張る高級ブランドが、ダンスを中心にしたファッションショーからアドバイザーチームに至るあらゆる手段に巨額を投じている。
その狙いはソーシャルメディアを通じて、若い顧客層を開拓することだ。
艶やかなフルカラーのページ広告を出すには数万ドルはかかる雑誌広告とは違い、参入障壁がない、ファッショニスタに人気のインスタグラムなどのサイトは、たとえ無名ブランドでも、気の利いた、あるいは派手なキャンペーンを打てば注目を集めることができる。
だが、LVMHやケリングなど、資金潤沢な高級ブランドグループがソーシャルメディア向け予算を拡大させるにつれて、大量のマネー投入が状況を一変させつつある。
かつては規模の大小を問わずブランドが対等に競い合える場だとみなされていたソーシャルプラットホームにおいても、ライバルの存在をかき消すだけの財力がこれらのグループにはあるからだ。
ブロガーやインフルエンサーの活用が主流になったことで、400万人規模のフォロワーを抱える彼らがスポンサー付きの投稿をする金額が、1本当たり2万ユーロ(約220万円)を軽く超える水準にまで高騰している、とマーケティング専門家は指摘する。
ほんの5年前、中小ブランドに比べ、ソーシャル上での積極さに欠けていた代表的高級ブランドだが、いまや競合他社を一足飛びに追い抜こうとしている。
急成長するグッチを擁するケリングは7日、2018年メディア予算の半分をデジタル広告に投じたことを明らかにした。3年前の20%から大幅増だ。同社は昨年、ソーシャルメディア上で最も高いパブリシティ効果を得た、とデータ追跡企業トライブ・ダイナミクスは指摘する。
「広告、そして願望を生み出す手法を巡り、われわれの考え方は大きく変化している」。ケリングのデジタル広告部門を率いるグレゴリー・ブッテ氏は記者団に語った。
「あらゆるタイプのソーシャル・プラットホームが出揃ったいま、さまざまなタイプの動画や画像が必要となっている。ユーチューブ向けコンテンツ制作は、テレビの場合とは違う」とブッテ氏は語った。
ケリングは、宣伝予算の総額を明らかにしていない。
同じくパリに本拠を構えるLVMHも2018年、マーケティング予算を過去7年で最も大きく増額。その総額は56億ユーロと、グループ収入の12%に相当する。これは同予算を公表している大半のブランドを上回る額であり、唯一これを上回ったのは、ネット上での主要トレンドセッターでもある未公開企業のシャネルだけだ。
LVMHの売上高をけん引するルイ・ヴィトンでも、マーケティング費用の半分をデジタルメディアに配分している。同ブランドのマイケル・バーク最高経営責任者(CEO)が今週行われた非公開のブリーフィングで明らかにした、とシティのアナリストが語った。
LVMHはコメントしなかった。
ルイ・ヴィトンや同じLVMHグループのクリスチャン・ディオール、マーク・ジェイコブス、ジバンシィは、トライブ・ダイナミクスが昨年選んだ「トップ10」ブランドに名を連ねており、これにはケリング傘下のサンローラン、バレンシアガもランクインした。
トライブ・ダイナミクスは、スポンサー料を受けていないコンテンツも含め、ソーシャルメディアにおける話題性がどれだけの価値を生んでいるかを数量化してこのランキングを算出している。