最新記事

投資の基礎知識

大人気のIPO(新規公開株式)銘柄、「その後」を追いかけて分かったこと

2018年12月18日(火)19時45分
岡田禎子 ※株の窓口より転載

Issei Kato-REUTERS

<注目のソフトバンク上場が19日に迫っている。だが、華々しくデビューしても、その後に人気凋落する銘柄は珍しくない。2017年には新規上場90社のうち91%で初値が公募価格を上回ったが、その後の株価はどうだったのか>

「当選すれば儲かる!」といわれるIPO銘柄(新規公開株式)は、欲しがる人も多いために人気が高く、当選することは稀です。残念ながら抽選に外れた場合は、上場後に買い付けるしかありません。初値が公募価格から大きく上昇して"爆上げ"した銘柄なら、その分、高値で買う必要があります。

しかし、そもそも公募価格(売り出し価格)は企業の実力や将来性、同業種銘柄の株価などを参考にして設定されているはず。ということは、初値がその何倍にもなるのは、やはり「IPOバブル」と言えるのかもしれません。

華々しくデビューしたものの、あっという間に人気は凋落......なんていう悲劇は、実は株の世界にもあるのです。

昨年デビューした「新人」はいま

2017年も、IPO銘柄は相変わらず好調でした。新規上場90社のうち、初値が公募価格を上回ったのは82社。実に、91%以上です。そのうち43社は、初値が公募価格の2倍以上という高いパフォーマンスを見せました。

そんな「2017年デビュー組」の中でも、特に成績の良かった「初値上昇額トップ10銘柄」の、その後の株価を追いかけてみました。

トレードワークス<3997>

kabumado181218-2.png

●2017年11月29日・ジャスダック上場

上場初日には値がつかず、3日目の12月1日に公募価格2,200円の約6.2倍相当の1万3,600円で初値をつけました。さらに1万4,690円の高値をつけましたが、翌日から急落、12月18日には7,730円まで下がりました。

初値で買った場合、わずか半月で40%以上の含み損を抱える結果です。年末には、季節要因で値動きの軽い直近IPO銘柄が買われた結果、1万550円まで戻しましたが、その後は出来高も伸びず、株価はパッとしません。なお、3月末に1株→3株の株式分割が行われています。

ヴィスコ・テクノロジーズ<6698>

kabumado181218-3.png

●2017年12月13日・ジャスダック上場

上場初日は値がつかず、翌日に公募価格4,920円に対して約3倍となる1万5,000円の初値をつけました。その後も、成長性の高いハイテク系メーカーとして注目度が大きく、人気化して連日急騰、28日には公募価格の約8.9倍となる4万3,900円まで上昇しました。

初値で買った投資家は、約半月で株価が2.9倍以上となったわけです。同銘柄も3月末に1株→8株の株式分割を行っています。

ユーザーローカル<3984>

kabumado181218-4.png

●2017年3月30日・東証マザーズ上場

「ビックデータ」「AI」というテーマ性のある銘柄で人気が膨らみ、上場翌日に公募価格2,940円の4.3倍に当たる1万2,500円の初値。4月3日には1万4,090円の高値をつけましたが、これが天井となり、その後はジリ安。11月16日に5,200円まで下げました。初値から60%近くの下落です。

サインポスト<3996>

kabumado181218-5.png

●2017年11月21日・東証マザーズ上場

やはり初日には値がつかず、翌日22日に公募価格2,200円の4倍近く、8,530円の初値をつけます。その後も「AI」関連株として注目されて、12月28日に公募価格の約9倍、初値で買った投資家にとっては2.3倍となる1万9,950円まで値上がりしました。2月末に1株→4株で株式分割。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

英外相がシリア訪問、人道援助や復興へ9450万ポン

ワールド

ガザで米国人援助スタッフ2人負傷、米政府がハマス非

ワールド

イラン最高指導者ハメネイ師、攻撃後初めて公の場に 

ワールド

ダライ・ラマ「130歳以上生きたい」、90歳誕生日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中