最新記事

イギリス

英緊縮財政で17年ぶりの高失業に

政府債務危機のヨーロッパには不況色が漂い、企業は様子見ムードで、緊縮政策には最悪のタイミング

2011年11月16日(水)16時15分
マイケル・ゴールドファーブ

痛い現実 過去17年で最悪の失業率に、キャメロンは有効な対策を示せるのか Toby Melville-Reuters

 公的債務と財政赤字を解決するには国の支出を減らすしかないと考える人たちは、緊縮財政を行っているイギリスの雇用情勢にもっと注目したほうがいい。

 先日発表された統計によると、この1年で政府支援の職業訓練を受ける60歳以上の人々の数が、前年の約10倍に達したという。この制度はもともと若い人の就職支援を目的に作られたもの。だが4000人近い60歳以上の人がこの制度を通じて職に就いているということは、「就職危機」が若年層だけの問題ではなく、あらゆる年齢層に絶望感が広がっていることを示す。

 希望が持てない現実はまだある。公立の人事開発研究所が企業1000社を対象に行った調査で、緊縮財政によって人員が削減された公共部門の穴を民間で埋めるという考えには無理があることが分かった。「雇用市場は痛みを伴ってゆっくり収縮しており、多くの企業に『模様眺めムード』が漂っている」という。失業率が過去17年間で最高の8.1%に達し、さらなる上昇が見込まれるなか、企業側に様子見を決め込まれたのではたまらない。

 イギリスが高失業率に苦しんでいる理由の1つは、最大の貿易相手であるユーロ圏の景気低迷だ。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は今週、与党・キリスト教民主同盟の会合で、ヨーロッパは「おそらく第2次大戦以降で最も厳しい時期を迎えている」と語った。「私たちの世代が抱える課題は、私たちがヨーロッパで始めたことを完結させること。それは政治的な統合を着実にもたらすことだ」

 メルケルのスピーチライターに、演説に説得力を持たせるヒントをあげよう。政治的な統合とは「雇用の創出」を意味すると約束すればいい。それこそ、今日のヨーロッパの人々が一番ほしい一言なのだから。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、NATOへの関与に否定的発言 集団防衛

ワールド

北朝鮮が固体燃料エンジンの地上燃焼実験、金総書記が

ワールド

ウクライナ大統領がUAE・カタール訪問、防衛協力で

ワールド

全米で反トランプ集会 移民政策やイラン戦争に抗議 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 9
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 7
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が…
  • 8
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中