コラム

リベラル派が触れると保守派が爆発、多くの「政治地雷」を踏むボケじいさん

2022年08月01日(月)11時42分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)
バイデン大統領

©2022 ROGERS─ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<銃推進、反中絶、反LGBTQ、反科学......共和党支持者の「地雷原」を踏もうとする、バイデン大統領。横たわる「活断層」の注視なしには、分断は広まる一方>

風刺画の右奥に注目! GOP(Grand Old Party=古き良き党=共和党)のCulture War(文化戦争)にドクロマークの標識だ。ここは共和党が仕掛けた地雷原だと、民主党のマスコット、ロバが解説している。

地雷のラベルを、分かりやすい順に説明しよう。pro-guns(銃推進)やanti-abortion(反中絶)、anti-LGBTQ(反LGBTQ)は言葉どおりで、日本の読者にもすぐ分かる。

言葉の意味が分かっても、乱射事件が相次ぎ年間約2万人が銃で殺される国で銃規制に反対する「意味」は分からない人も多いだろうけど。性的指向や女性の体の自由を認めない「意味」もね。

anti-Science(反科学)は温暖化やコロナについての科学的見解を否定する共和党の立場を指す。ウイルス対策で消毒液を注射することを提案したトランプ前大統領が分かりやすい例。

共和党が進化論を疑い、地球が6000年前にできて、人間と恐竜が同時期に生きていたとする理論を推していることも有名だ。民主党のバイデン大統領のほうが生きた化石っぽいけど。

Jim Crow(ジム・クロウ法)は本来、黒人の参政権を妨害した、公民権運動前の法律を指す。だが、最近では黒人有権者が多い地域の投票所を減らしたりする投票抑制策を指す。参政させない策に賛成できないね。

Big Lie(大きなウソ)は「大統領選に不正があり、トランプこそが本当の大統領だ」という陰謀説。その妄想を信じ、トランプにあおられた支持者が去年、選挙結果の承認を阻止すべく議事堂に乱入したのがJan 6(1月6日)。9.11や3.11のように、今やアメリカで日付自体が事件の名称になっている。

一番なじみのない単語がshuffleboard(シャッフルボード)かもしれない。棒を使って石を滑らせるお年寄りに人気のゲームで、カーリングとゲートボールが合体したようなものだ。

これら文化戦争の主要トピックは、保守・リベラル間の「活断層」に横たわっている。リベラル派が触れると、保守派が爆発し、分断は広がる一方。まさに政治的な地雷だ。

バイデンは地雷を見てシャッフルボードの駒と勘違いしている。風刺画家はボケじいさんのイメージで彼をからかっているが、とても失礼だ! でも「生きた化石」よりはいいか。

ポイント

DON'T WORRY...I BROUGHT MY SHUFFLEBOARD CUE!
心配するな、シャッフルボードのキュー(杖)を持ってきた!

THOSE ARE LANDMINES, SIR.
大統領、これらは地雷です。

プロフィール

パックンの風刺画コラム

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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