コラム

一匹狼のトランプでも、G7サミットはぶち壊せない

2018年06月23日(土)15時00分

G7がグローバルな地政学への影響力と決定力を少しずつ失っているのは確かだが、民主主義を破壊する勢力はまだちっぽけなものだ。

トランプの行動で最も優先されるのは、世間の注目を集めること。喝采に酔いしれ、批判者を徹底的に攻撃する。彼は大統領になりたいとは思っていなかった。世界一の有名人になりたかっただけだ。

トランプの信条が「グローバル派の意図をくじくこと」や「アメリカ・ファースト」だから、G7が崩壊に導かれたと考える向きもあるだろう。だがここは、気まぐれな大統領がどうすれば世界のメディアに注目されるかを気にして行動しているからと言うのが正しい。トランプの大風呂敷と理解不能な決定が、民主主義の世界を根底から揺さぶっているのは間違いない。

しかしG7の変化を永久的なものと考えるのは、G7主要国の位置を地図上で指せないような大統領への買いかぶりだろう。今回のG7の重要な教訓は、リーダー個人の資質が何より重要だということだ。

<本誌2018年6月26日号掲載>


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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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