コラム

ホームレスの写真を商業写真家が撮る理由

2017年04月11日(火)15時50分

From John Crawford @johnniecraw

<ニュージーランドで3年以上にわたりホームレスを撮り続けているジョン・クロフォード(66歳)。もともとコマーシャル(商業写真)、コーポレイト(企業写真)の写真家で、インスタグラムが彼の作品に光を当てた>

写真を含めたアートコミュニティにはかなりの偏見と差別がある。意図的ではないにしても欧米中心になっている。中国や日本のアーティストがもてはやされることがあっても、それは一部あるいは一過性のことがほとんどだ。

そんなか、ここ数年のインスタグラムの台頭は確実に大きな影響を与え始めている。このブログで何度か紹介したようにイランの写真家たちが大きなボリュームを持って注目され始めている(例えば「なぜイランには自分自身を撮る写真家が多いのか」「24歳イラン人写真家のストールン・モーメント」など)し、今回紹介するニュージーランドの写真家もその表れだ。

写真が大きな趣味であった脳外科医の父親のもとで、8歳の時から暗室作業にも親しんでいたというジョン・クロフォードその人である。オークランド在住の66歳の大ベテランで、社会に出てからは、コマーシャル(商業写真)、コーポレイト(企業写真)の写真家をバックグラウンドとしてきた。

彼のインスタグラム・ギャラリーでの作品は、大半が白黒写真だ。すべてiPhone で、Hipstamatic(ヒップスタマティック)というアプリを使って撮影されている。フィルム時代にあった「ダイアナ」というプラスチック製のトイカメラを気に入っていたこともあって、それと似た雰囲気をつくり出してくれるからだという。またその正方形のフォーマットも、より開放的だから非常に気に入っていると語った。

とはいえ、彼の作品において大きな魅力を発している社会派的なポートレイトは、ヒップスタマティックのデジタルレンズやデジタルフィルムの特質を効果的に使っているだけではない。被写体に対する距離感、構図、そして"決定的瞬間"もしっかりと把握したものだ。

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産が九州工場で1週間約1200台減産へ、中東情勢

ワールド

UAE、原油生産が半分以下に ホルムズ海峡封鎖で油

ワールド

アフガン首都病院にパキスタンの空爆、400人死亡=

ワールド

英、若年層の雇用促進策発表 10億ポンド規模
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 3
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story