コラム

G20議長国・中国に問われる世界市場混乱の説明責任

2016年02月24日(水)17時00分

 一方で、通貨当局が為替介入を減らして、人民元の下落をある程度放置すれば、少なくとも外貨準備の浪費は抑えられ、スパイラル的な人民元暴落シナリオの発生の可能性は大きく低下するでしょう。同時に、景気対策をしっかりと実施し、景気減速に歯止めをかけ、市場のセンチメントを改善させる必要があることは、言うまでもありません。

 周小川・人民銀行総裁は、2月26日現地時間9時30分(日本時間10時30分)から記者会見を行い、G20財務相・中央銀行総裁会議に議長国として臨む中国の基本的な方針を説明する予定です。人民元に何が起きていて、それに対して中国政府がどのような意図をもって政策を講じようとしているのかがきちんと説明される必要があります。これが肩透かしに終われば、政策対応の拙さや説明不足に起因するマーケットの混乱・動揺はまだ続くことになりそうです。

<筆者の過去記事はこちら>

プロフィール

齋藤尚登

大和総研主席研究員、経済調査部担当部長。
1968年生まれ。山一証券経済研究所を経て1998年大和総研入社。2003年から2010年まで北京駐在。専門は中国マクロ経済、株式市場制度。近著(いずれも共著)に『中国改革の深化と日本企業の事業展開』(日本貿易振興機構)、『中国資本市場の現状と課題』(資本市場研究会)、『習近平時代の中国人民元がわかる本』(近代セールス社)、『最新 中国金融・資本市場』(金融財政事情研究会)、『これ1冊でわかる世界経済入門』(日経BP社)など。
筆者の大和総研でのレポート・コラム

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