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新旧交替ではなく追加で成長してきた日本社会
1つは、社会の変革期において、「古い方法論を否定したり、破壊する」ことはしないで、つまり保守的な制度はスルーして、「新しい方法論を付け加えればいい」という発想法です。ジョブ型雇用を進めるのに、必ずしもメンバーシップ型を否定する必要はなく、旧式の人事制度で低生産性にあえぐ伝統企業を横目に、「しれっと」ジョブ型を成功する事例が増えれば良いのかもしれません。
ブラック校則や部活にしても、そうした保守的な制度と戦うのではなく、全く新しい考え方で作られた教育機関がどんどん実績を伸ばして、気がついたら自由で開放的な学校が多くの生徒を集めていたというような流れで改革が進む可能性もあります。
もう1つ注意しなくてはならないのは、反対に「古い制度を残して、新しい制度を加える」という方法では、余りに非効率でコストがかかるという問題です。日本社会には「どうしても旧に新を加える」クセがあり、放っておくとどんどん生産性が落ちるということを自覚し、あえて旧式をバッサリ捨てるのが最適解という場合もあるということです。
多くの企業や官庁で行われている紙とハンコを使った「事務作業」などは、バッサリ捨てるような改革が必要と思います。仮にこの後、円高の時期が来るとしたら、特に多国籍企業の場合、日本本社の事務部門の生産性は厳しく問われることでしょう。その辺りが一気に変えるタイミングになるのではと思います。
いずれにしても、放っておくと「旧きを改める」のではなく「旧に新を加えて」しまうという日本文化の伝統については、もう少し自覚的であっても良いと思います。
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