コラム

パンデミック下のスーパーボウル、感染拡大は避けられない?

2021年02月02日(火)16時40分

その際の食べ物も決まっていて、定番としては辛みの利いた手羽先の「バッファロー・ウィング」と、塩辛いスナックの「プレッツェル」、あとはポテトチップスとかピザとか、あるいはタコスなどを大勢で楽しむという具合です。ドリンクは左党ならビール、それ以外はソーダを大きなペットボトルを回してガンガン飲むというスタイルです。

たかがスポーツ観戦ではありますが、多くのアメリカ人にとっては真冬の日曜日の楽しみで、このイベントがないと寂しいという人は多いと思います。ですが、真冬のテレビ観戦ですから、北米の気候を考えると換気は無理。そんな中で、家族以外の人も含めて大勢が密になり大声で盛り上がる、しかも食べ物は大皿からみんなで取るというのですから、感染予防としてはかなりマズい状況です。試合時間もハーフタイムを入れると3時間以上、掛かります。

ガイドラインはまず守られない

そこで政府のCDC(疾病予防管理センター)は、今回スーパーボウルについて、観戦はできるだけ「同居家族だけ」で行うこと、どうしても客を呼んでやる場合はできるだけ少人数、どうしても飲食を伴う場合は各人が持ってきたものを別々に食べる、盛り上がっても拍手だけで叫んだりしないといったガイドラインを発表しています。

ですが、まず十分には守られないでしょう。そしてスーパーの店頭には、パーティー用の食べ物や飲み物が例年通り積まれています。それだけではありません。試合そのものが、25歳のスーパースターQBパトリック・マホームズを擁したカンザスシティ・チーフスが、スーパーボウル出場10回のベテラン、トム・ブレイディをQBとしているタンパベイ・バッカニアーズと対戦するという夢のような組み合わせになっているのです。

しかもバッカニアーズは、非常に珍しい開催地の地元球団ということで、とにかく盛り上がる要素が盛り沢山になってしまいました。感染拡大への懸念が全米で高まっています。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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