コラム

どうして被災県知事が情報の司令塔になれないのか?

2016年04月19日(火)12時00分

 現場と中央政府の関係についても、不自然でムダが多いように思われます。例えば、菅官房長官も何度も会見していましたが、そのたびに「災害のプロでもない官邸詰め記者」が「現在の被害状況は?」などと、怖い顔をして突っ込むのは、なぜなのでしょう? 何となく「官邸の危機管理を試してやるぞ」的な意地悪なニュアンスを感じますし、それに対して官房長官が必死になって答える、ということも含めて、全体的に無駄なプロセスのように思います。

 熊本から遠く離れた官邸で、何度も緊急会議を首相が招集するというのも、どう考えてもセレモニー的に見えます。現場での迅速で現実的な対処にイニシアチブを任せて、中央政府はその支援に回るという役割分担には、どうしてできないのでしょう?

 例えば被災地であっても、知事の会見を取材するのは県庁記者クラブの独占で他のメディアは入れないとか、そういう理由があるのでしょうか? それとも、そんな高度な広報体制を敷ける準備は、都道府県レベルではできていないのでしょうか? それとも国家的危機には総理と官房長官が「顔」になるのが中央集権国家の「しきたり」なのでしょうか? ガチンコの会見の「場」を危機管理の司令塔にするようなカルチャーは、そもそも日本には馴染みがないのでしょうか? 何とも理解に苦しみます。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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