コラム

今回の東京都知事選を「イロモノ」の祭典にしないために必要なこと

2024年06月18日(火)18時08分

正直、都民としては国政への野心があろうがなかろうが都政をきちんとやってくれればいい。だが小池氏は知事就任1年後の新聞各紙で「小池氏の物事の決め方もブラックボックス」(朝日新聞、17年8月2日)などと書かれた。政策の決定過程や手法は民主主義では重要だ。3選を目指すならチャレンジャーを相手にきっちり論戦し、説明してほしい。

チャレンジャーの1人、蓮舫氏の出馬も興味深い。小池氏が初出馬した16年都知事選では当初、出馬が注目されていたからだ。だが立候補は見送り。背景に同年の民進党代表選への意欲があると言われた。事実、党首になったが1年で辞任。党内からは都議選敗北後、逡巡した末の辞任を「センスがない」と嘆く声が出た(日刊スポーツ、17年7月28日)。

「都議選」とは小池氏率いる都民ファーストの会が大躍進した17年7月の選挙だ。小池氏は知事1年目で絶頂時だった。一方、センスがないと言われた蓮舫氏は7年たって都知事選へ。なんだか因縁を感じるが、政策論戦でしっかり選択肢を示すことで候補者全員には「イロモノ説」の全否定をお願いしたいのです。

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プロフィール

プチ鹿島

1970年、長野県生まれ。新聞15紙を読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルからニュースを読み解く時事芸人。『ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実』(双葉社)、『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』(文藝春秋)、『芸人式新聞の読み方」』(幻冬舎)等、著作多数。監督・主演映画に『劇場版センキョナンデス』等。 X(旧Twitter):@pkashima

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