コラム

【動画】 ペットボトルを便利なヒモに変身させるカッター

2016年12月01日(木)16時10分

<ペットボトルはテープ状に切ることで手芸や梱包から園芸まで幅広い用途に利用できることをご存知だろうか? このテープを簡単に作り出してくれるカッターがある>

 ペットボトルの製造に使われているPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂は、安全で熱にも比較的強く、リサイクルもしやすい。そのため、飲料ボトルからフィルムや磁気テープの基材などまで幅広く用いられ、また、衣料向けフリース素材への再利用も進んでいる。

 家庭では単に分別してリサイクルに回すか、子どもの工作材料として圧縮空気ロケットのボンベ兼本体部分に使われたり、水を入れ道路に並べてネコよけにする(その効果については意見が分かれるが)などされているが、実はテープ状に切ることで手芸や梱包から園芸まで幅広い用途に利用できることをご存知だろうか?

 たとえば、縦横に並べて交互に重なるように編んでいけば小物入れや買い物カゴ的なものを作れる。また、角材や古新聞の束などをゆるく縛り、熱を加えると収縮する性質を利用してドライヤーで密着させることもできる。あるいは、ビニールひもの代わりにガーデニングの支柱の間に渡し、植物のつるが絡みやすくするといった用途にも応用が可能なのだ。

簡単に、ペットボトルがロープに変身

otani1204.jpgPET樹脂のロープは強度も強いので、2台の自動車を結びつけても...

otani1205.jpg自動車を牽引することができた。

 しかし問題は、どうやって均一な幅のテープを効率良く作り出すかという点にある。欧米ではDIY好きの人たちがこの問題をスマートに解決しようと、ガレージの片隅のワークテーブルなどの上にあり合わせのボルトやナット、カッターの刃を組み合わせた自作ツールを設えて利用していたりする。そうしたツールの機能をハンディサイズにまとめ、気軽に使えるようにした製品が、プラスティックボトルカッター(21.95ユーロ)だ。

 木製のグリップに、テープ幅を決めるアルミ材のスリーブを付け、既存の折る刃式のカッターの刃を埋め込んだプラスティックボトルカッターは、シンプルな構造だが、ペットボトルをカットするというただ1つの目的を巧妙にこなしてくれる。

 ポイントは、カットする前にペットボトルをガスコンロなどの火であぶることで、そうすると表面の凹凸がなくなってスムーズな円筒状になり、切り出しが容易に行えるようになる。

 日本のペットボトルには透明なものが多く、カラフルさの点で物足りないところが少し残念だが、輸入ものの飲料ならば他の色もあるので、欲しい色を探してスーパーに足を運んだり、海外旅行の折に現地で調達してみるのも面白い。

 こうして素材の形や用途を変えて再利用することを、リサイクルやリユースではなくアップサイクルと呼ぶが、プラスティックボトルカッターは、まさに身近なアップサイクルツールなのである。

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

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