コラム

たためて、つぶれない。画期的な自転車ヘルメット

2016年06月02日(木)14時00分

画期的な自転車ヘルメットHeadkayse(ヘッドケイス)

<自転車ヘルメットの弱点を素材と構造の面から見直し、たためば横幅が5分の1に、ぶつけても元に戻る画期的ヘルメット>

 筆者の日常の移動手段は、大阪でも東京でも(あるいは国内外で出張した場合にも可能な限り)自転車である。幸いなことに、これまで頭部を打つような事故に遭ったことはないが、昨今の交通事情を考えれば、自転車用ヘルメットの重要性は高まっている。

 ただ、従来型のヘルメットは、かぶって走行する分には良いのだが、携行時に嵩張るという難点があった。それは、製品の多くが発砲スチロール系の素材を主たる構造材 兼 衝撃吸収材に用いているためで、万が一の際には、多量の空気を内包するスチロール部分がつぶれることによって衝撃が吸収される仕組みだ(小さな衝撃が繰り返されると、亀裂が生じることもある)。

 したがって、一度でも事故に遭ったり、使い込んで古くなったヘルメットは、新品に買い換える必要が出てくる。

 こうした自転車ヘルメットの弱点を素材と構造の面から見直し、しかも、畳めば横幅が5分の1となって持ち運びやすくした製品が、Headkayse(ヘッドケイス)である。

Headkayse_Intro_02.jpg

 このために専用開発されたEnkayse(エンケイス)という素材は、衝撃を吸収してつぶれても元の状態に戻る性質があり、うっかりヘルメットを床に落としたり、何かにぶつけてしまっても、所期の性能を維持することができる。

 また、内部の弾力性と表面のタフさを両立しており、尖ったもので突いても、容易に貫通しない特性が実現されている。このため、発泡スチロールならば1回で破断するような力が繰り返し加わっても問題なく使い続けることが可能であり、その柔軟性と特許取得済みの調整システムによって、1つのサイズで子供から大人までしっかりフィットする点も大きなメリットだ。

 欧米に比べて日本はまだ自転車ヘルメットの装着率が低く、事故が起こった際には頭部へのダメージが深刻になる可能性が高い。こうした画期的な製品の登場によって、それが少しでも改善されていけばと思う。

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

最近の急速なウォン安・円安、深刻な懸念共有=日韓対

ワールド

米戦略石油備蓄の第1弾、来週末までに供給 8600

ビジネス

日立とGEベルノバ、東南アジアで小型モジュール炉導

ワールド

米商務省、AI半導体輸出の新規則案を撤回 公表から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 4
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 8
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 9
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 10
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story