コラム

iPad Proのミッシングリンクを埋める小さなアクセサリ: Quarter

2016年03月24日(木)16時00分

iPad ProをApple Pencilと合体する小さいながらきわめて便利なアクセサリ:Quarter

iPad ProとApple Pencilは、相性がとても良いが・・

 日本時間の3月22日未明、アップル恒例の春の新製品発表会が行われ、iPod Proにこれまでの12.9インチモデルに加えて9.7インチモデルが加わった。9.7インチといえば元々のiPadのスクリーンサイズであり、新モデルは高い性能と持ち運びのしやすさを両立させたといえる。

 ちなみに筆者も12.9インチのiPad Proのユーザーで、逆にこのスクリーンサイズが気に入っているが、人によっては大きすぎると感じるのも確かであり、追加されたニューモデルはそうした人たちに大いにアピールするだろう。

 さて、iPad Proの特徴の1つに、Apple Pencilと呼ばれるペンシル型の入力装置に対応していることが挙げられる。これは、筆圧はもちろん、傾きも検知して描画に反映させることができ、映画「トイ・ストーリー」などの監督を務めて現在はディズニーとピクサー両アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるジョン・ラセターも「デジタルの世界で実際の紙に描くのに最も近い」体験が得られると絶賛するほどである。

 ところが、iPad ProとApple Pencilは、相性がとても良いにもかかわらず、1つ問題を抱えている。それは、Apple Pencilがオプション扱いなこともあって、iPad Pro本体と一緒に持ち歩く方法が用意されていないという点だ。つまり、スケッチブックと鉛筆の関係と同じように、Apple Pencilは別のペンケースなどに入れて持ち歩かねばならない。

これでiPad ProをApple Pencilと合体して持ち運べる

 この問題を解決すべく、サードパーティの中にはApple Pencilを取り付けられるプロテクトカバーなどを開発・販売しているところもあるが、あいにく筆者はSmart Keyboardという純正のキーボード一体型のカバーを利用しており、それ以上のケースなどは装着しない主義だ。

 しかし、似たような不便を感じる人が多かったようで、このiPad ProとApple Pencilの間にあるべきミッシングリンク(本来は、進化の過程で存在していたはずなのに未発見の化石生物を指すが、ここでは、2つの異なるアップル製品をつなぐべきもの、の意)的なアクセサリを自力で開発した会社があった。

 スティールコネクトというその会社が、クラウドファンディングを利用して実現したそのシリコーン製アクセサリはQuarterといい、iPad ProのLightningコネクタ用のスロットを利用して取り付ける。そして、Apple Pencilを差し込む穴を変えることで、携行時から利用時、充電時まで異なるポジションでホールドできるようになる。

 Apple Pencilは、キャップを外してLightningコネクタに差し込むことで、それ自体の充電ができるようになっているので、その際にキャップをなくさないように付けておける工夫もある。

 もちろんiPad Proは、指先でのタッチでもこれまで通りの使い方は問題なくできるわけだが、Apple Pencilがあれば描画時などの表現力が大きく向上する。アップルが、どうしてApple PencilをiPad Proに合体して持ち運べる方法を用意しなかったのか不思議だが、Quarterは地味ながら欠かせない相棒のような存在なのだ。

スティールコネクト社がクラウドファンディングを利用して実現したそのシリコーン製アクセサリ。


2.jpg

移動時はこの形で


5.jpg

ペンのチャージをする時はここに

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、平和と引き換えに領土放棄せず─側近

ワールド

米ウ代表団、今週会合 和平の枠組み取りまとめ=ゼレ

ビジネス

ECB、利下げ巡る議論は時期尚早=ラトビア中銀総裁

ワールド

香港大規模火災の死者83人に、鎮火は28日夜の見通
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 10
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story