コラム

『スタンド・バイ・ミー』25年目の衝撃

2011年06月25日(土)12時43分

 今週号で、映画監督ロブ・ライナーのインタビュー記事を掲載しました。取材で実際お話ししてみると、イメージどおり気さくでサービス精神旺盛な方で、今年製作25周年を迎えた作品『スタンド・バイ・ミー』の裏話をたくさん披露してくれました。

 誌面では、故リバー・フェニックスやキーファー・サザーランドなど、後にスターになった俳優たちの当時の「暴走ぶり」や、有名シーンの舞台裏を紹介しましたが、他にもいろいろな話を聞かせてもらいました。撮影を始める2日前に突然、映画の製作資金をストップされたこと、あの作品を機に「受けそうな映画」ではなく、地味でも自分らしい映画を作る自信がついたこと。最近のハリウッドは様変わりして作り手側にとっては厳しい時代になってきたけれど、独立系のいい作品も増えてきて捨てたもんじゃないとも語っていました。

 ただ個人的に今回何より衝撃だったのは取材の後で、記事に使う写真を選んでいた時のこと。『スタンド・バイ・ミー』製作25周年のイベントで作品の主要スタッフが集まった際の集合写真を使ったのですが、最初に見た時には椅子からずり落ちそうなほど驚きました(誌面と同じではありませんが、近い写真はこれです)。主演した子供たちは「みんな別人のように成長した」とライナー監督は語っていましたが、まさかこれほどとは......。

 23歳で死去したリバー・フェニックスを除く主演メンバー3人は、人気スターには程遠いものの今も俳優として活動を続けています。華奢で繊細なゴーディを演じたウィル・ウィートン(38)は、主役ではないもののテレビドラマや映画にコンスタントに出演する他、アニメの声優としても活躍中(現在の写真)。

 生意気で大きなメガネがトレードマークのテディ役のコリー・フェルドマン(39)は、一時は薬物依存に苦しみキャリアも低迷したが、現在は立ち直って仕事も徐々に増やしているとか(現在の写真)。

 そして太っちょで臆病なバーン役を演じたジェリー・オコネル(37)は、スリムで長身の2枚目俳優に成長(現在の写真)。2010年からCBSのコメディードラマ『ディフェンダーズ 闘う弁護士』の主役に抜擢された他、映画のプロデュースや脚本も手がけるなどマルチな才能を発揮。

 3人とも私が漠然と思っていたのとは全く違う人になっていて、子供がどんな大人になるかは分からないものだなあと痛感しました。ライナー監督は3人の成長ぶりに驚いたと嬉しそうに語っていたけれど、彼自身もある意味で驚くべき存在。当時と今を比べると確かに年は取ったけど、これほど変わらない人も珍しいかも?

――編集部・佐伯直美

プロフィール

ニューズウィーク日本版編集部

ニューズウィーク日本版は1986年に創刊。世界情勢からビジネス、カルチャーまで、日本メディアにはないワールドワイドな視点でニュースを読み解きます。編集部ブログでは編集部員の声をお届けします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大

ビジネス

中国、来年の消費財下取りに89億ドル割り当て スマ

ワールド

カンボジアとの停戦維持、合意違反でタイは兵士解放を

ワールド

韓国大統領、1月4ー7日に訪中 習主席とサプライチ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story