コラム

【探しています】山本太郎の出発点「メロリンQ」で「総理を目指す」写真

2019年11月02日(土)14時50分

90年代初め頃にはアイドル誌「明星」にたびたび登場していた山本氏 Newsweek Japan

<最新号「山本太郎現象」特集に掲載したかった、あるグラビア記事について......>

本誌11月5日号(10月29日発売)は「山本太郎現象」を特集した。7月の参院選で新風を起こしたれいわ新選組を率いる山本太郎氏とは何者か、彼の存在は日本政治にとってどんな意味を持つのかを探るものだ。

目玉となる森達也氏の原稿に添える写真は、山本氏のこれまでが一目で分かるように、芸能界での活躍、反原発活動、参議院議員時代、そして7月の参院選といくつかのステージに分けて選ぶことになった。

山本氏といえば「メロリンQ」、ダンス甲子園(「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」)での奇抜な一発芸を思い浮かべる人は多い。初めての出演は90年、彼が高校1年生のときで、これをきっかけに芸能界入りをした。彼の出発点である「水着に水泳帽姿」の写真はぜひ使いたかったが、もとはテレビ映像ということもあり入手がなかなか難しい。

調べるうちに、メロリンQ姿の写真に「夢は政治家、総理大臣になったるでぇ~!!」というタイトルを添えたグラビア記事があることをツイッターで知った。今の彼につながる象徴的な絵だ。どの雑誌かは不明だったが、91~92年のアイドル誌「明星」に山本氏がたびたび登場していたらしかったので、当たりをつけて92年2月号をフリマアプリで購入。だが残念ながら、載っていたのは目的のものではなく、「初夢~ああ青春の...天国と地獄」という記事だった(上写真)。

この頃の彼がかなりはじけていたことは間違いなく、政治家・山本を語るときに「しょせんメロリンQ」と揶揄する声は今でもある。ただ印象は強烈だが、それはほんの一時期のことで、91年の映画デビュー以降、俳優として約20年も活動した。主演作は数多く、01年度には『光の雨』『GO』で日本映画批評家大賞助演男優賞、03年度には『ゲロッパ』『MOON CHILD』『精霊流し』でブルーリボン賞助演男優賞を受賞するなど、実力もあった。

それでも参議院議員になってからの活動で、演技じみたり、ふざけたところがあると感じた人はいるだろう。例えば、13年秋の園遊会で天皇(当時)に手紙を渡した事件や、15年9月の安保法案採決時に喪服姿で牛歩し、焼香のマネをしたことなど......。しかし今回の特集で話を聞かせてくれた森ゆうこ参議院議員によれば、今はもうふざけ過ぎという感じはなく、かなり慎重になっているという。当たり前だが、人は変わるし、成長するということだ。

「山本はしょせん高校中退」と見下す人もいるが、それが意味のない批判であることは簡単に分かる(いうまでもないが、大卒であっても......という人はたくさんいる)。同じく話を聞かせてくれた立命館大学の松尾匡教授は彼について、「地頭がいいというか、物を考える力がある」「高校中退はマイナスではなく、プラスになっていると僕は思う。エリート街道を歩んできた政治家は、苦しんでいる人たちの状況がピンとこない」と語っていた。

彼の強烈な個性について、好き嫌いがはっきり分かれるのは確か。それがこれからの日本にどんなインパクトを与えるのか――特集『山本太郎現象』をぜひ読んで頂きたいと思う。

そして、もし「夢は政治家、総理大臣になったるでぇ~!!」の記事がどの雑誌かお分かりの方がいましたら、編集部までご一報ください!

――編集部・大橋 希

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10月29日発売号は「山本太郎現象」特集。ポピュリズムの具現者か民主主義の救世主か。森達也(作家、映画監督)が執筆、独占インタビューも加え、日本政界を席巻する異端児の真相に迫ります。新連載も続々スタート!

プロフィール

ニューズウィーク日本版編集部

ニューズウィーク日本版は1986年に創刊。世界情勢からビジネス、カルチャーまで、日本メディアにはないワールドワイドな視点でニュースを読み解きます。編集部ブログでは編集部員の声をお届けします。

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