コラム

若い女性の写真とAIで偽情報拡散──スパイ企業の手口「SNSハニートラップ」とは

2023年04月13日(木)13時40分

スマホ画面の向こうの「戦場」

しかし、この面で日本の備えは心許ない。

日本政府は昨年末に発表した防衛力整備計画のなかで、「サイバー領域における能力向上」を打ち出しが、今年度の防衛省予算で比べれば、敵基地攻撃能力を備えたいわゆるスタンド・オフ防衛能力に1兆4000億円が配分されるのに対してサイバー関連は2000億円と、予算規模には大きな差がある。

外務省でも、日本人を対象に外国からくる偽情報の収集・特定を今年度からAIを用いて始めているが、まだ始まったばかりだ。

防衛力強化の問題が「増税」一色に塗り替えられた責任の一端は、防衛費引き上げの方針をあまりに唐突に表明した政府にもある。とはいえ、増税は筆者自身もありがたくないが、「増税」によって防衛力強化に関する議論が見えにくくなるのも問題だろう。

日本は今のところミサイルの直撃を受けていないとしても、スマホ画面の向こうには火の手の上がらない「戦場」がすでに広がっているのだから。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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