コラム

都議選の敗因を「誤解」する自民党、国難に直面する「重税国家」日本にいま必要なもの

2025年06月25日(水)08時15分

小泉農相の「活躍」と、都議選の結果が示したもの

自律的な経済成長をサポートするために、先進国の中でも相当な重税国家と言える今の税制を変えて、追加の増税を警戒する有権者の懸念を払しょくすることが必要だろう。そして、高まり過ぎた税負担を軽減して民間の経済活動をサポートすれば、資本主義のダイナミズムが復活する。

こうした考えを持つ政治リーダーの登場が、「いわゆる将来不安」を和らげるゲームチェンジャーになると筆者は考えている。

実際に、最近さまざまな問題が露呈して支持率が低下していた国民民主党が、今回の都議選では議席を獲得した。やはり、「手取りを増やす」という政策が現役世代に響くことには変わりない。小泉進次郎農相の「活躍」で米価の上昇は止まりつつあるとオールドメディアが伝えても、それは高齢者と権益者に配慮しているだけに過ぎないことを、今回の都議選の結果は示しているのだろう。

国難に向き合えず、有権者の声に耳を傾けない政治リーダーを、我々有権者は選択してしまっているようにみえる。それを是正する機会を有権者が賢く使うことで、最近評判が芳しくない民主主義を機能させることは可能である。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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