パレスチナのテロとイスラエルの壮絶な復讐......ガザ和平が近づく今だからスピルバーグ監督作『ミュンヘン』を見てほしい
映画公開から数年後にヨルダンのパレスチナ難民キャンプにホームステイする機会を得て、宿泊した家の(僕とは同世代の)兄弟5人と夜通し話した。
イスラエル兵士がパレスチナ自治区ガザの市民を殺戮する多くの映像を僕に見せながら、「日本人はこの問題に関心があるのか」と兄弟の1人から問われ、「申し訳ないけれどほとんどの日本人は関心を持っていない」と僕は答えた。しばらく沈黙してから彼は「味方をしてくれと言うつもりはない」と言った。
「でも知ってほしい。われわれはなぜ故郷に帰れないのか。いま故郷に残っている同胞たちにイスラエル軍兵士たちは何をしているのか」
帰国してから(今さらだが)パレスチナ問題を調べ、戦場ジャーナリストの友人や先輩たちに話を聞いた。そして23年10月、イスラム組織ハマスのイスラエル奇襲によって、これまでにない規模の殺戮が始まった。
ユダヤ系アメリカ人のスピルバーグが93年に発表した『シンドラーのリスト』は全世界で高い評価を受け、アカデミー作品賞・監督賞などを受賞した。
これに対して本作は、5部門でノミネートされながら受賞は全て逃し、イスラエル政府や当局からは(パレスチナ寄りだとして)強く批判されている。
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