年老いた母を撮って内省、『スープとイデオロギー』で監督ヤン ヨンヒが願うのは
ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<韓国ではなく北朝鮮を選んだ両親、「帰国」した兄たち、父と母の半生に批判的になる自分──ヤン ヨンヒの『スープとイデオロギー』は極めて内省的なドキュメンタリー>
2014年、平壌に滞在して3日ほど過ぎた頃、よど号メンバーたちとカラオケに行った。
よど号メンバーとは、1970年3月に日本航空351便(よど号)をハイジャックして北朝鮮に渡った赤軍派を示す。当時は9人だったが、この半世紀の間にリーダーの田宮高麿を含めて5人が他界している。
彼らが居住する平壌郊外の「日本人村」(通称)に僕は宿泊し、およそ1週間、寝食を共にした。ハイジャックの総括、北朝鮮の現状、日本のこと。いろいろ議論した。
彼らは今、自分たちの過ちに気付き、日本に戻って罪を償いながら残りの人生を過ごしたいと願っている。でも日本と北朝鮮の現在のねじれた関係が、それを不可能にしている。
カラオケの各部屋には、担当の若い女性がアテンドとして待機していた。デュエットも可能だが、僕はカラオケが苦手だし、よど号メンバーも女性の誘いになかなか応じない。誰かが女性に言った。あなたが歌ってください。女性は歌った。金正恩(キム・ジョンウン)をたたえる歌。みんなは沈黙した。歌いながら彼女は、感極まったように涙ぐんでいる。歌い終わった彼女に僕は聞いた。金正恩は好きですか。バカな質問だ。嫌いですと答えるはずがない。でも涙ぐんでいた彼女は、にっこりと笑いながら、こころもち首を傾げた。ノーなのか、イエスなのか分からない。
今は思う。人の内面は複雑だ。民族や言語や信仰が違っても、人の内面は変わらない。でも国家は国民に単純さを要求する。まるで国境線が引かれているかのように、忠誠や愛国などのラインを国民に強要する。
こうして国家の争いが起きるとき、人は他者の集団を自分たちとは違う存在なのだと思い込む。だからこそあり得ないほどに残虐になり、取り返しのつかない事態が起きる。
映画監督ヤン ヨンヒの両親は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の熱心な活動家だった。「帰国事業」で3人の息子を北朝鮮へ送り、父が他界した後も「地上の楽園」にいるはずの息子たちに、母は借金をしてまで仕送りを続けていた。
最新作のドキュメンタリー『スープとイデオロギー』で、ヨンヒは年老いた母をいたわりながら、父と母の半生に対して批判的になる自分を隠せない。なぜ戦後に韓国ではなく北朝鮮を選択したのか。なぜこれほどまでに「北」を信じられるのか。
その母がアルツハイマー病になった。記憶が急激に薄れてゆく。ヨンヒは母を、日本に来てからは一度も帰っていない生まれ故郷の韓国・済州島に連れて行くことを決意する。
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