「映画を語るなら観るべき」成瀬巳喜男監督『めし』の解釈について
ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<小津安二郎の『東京物語』と並ぶ邦画の古典である成瀬の『めし』は、林芙美子が原作を完成させていたらエンディングは違ったかも?>
映画研究会に所属していた大学生の頃、小津安二郎の『東京物語』と成瀬巳喜男の『めし』は、「映画を語るなら観なければいけない邦画」ランキングに絶対にランクインしていた作品だったと思う。
もちろんルールとかではない。映画を撮ったり語ったりするならば、このあたりの作品くらいはクリアしておかないとね、といった空気。
ただしアメリカン・ニューシネマに夢中になっていた僕はKYだ。クリアすべき作品はあまり観ていない。
もちろん毛嫌いはしていない。機会があれば観たい。でもほとんどは僕が生まれる前に公開された映画だ。サブスクどころかビデオすらない時代に、映画好きの学生たちはどうやって古典を観たのだろう。
当時の映画館事情をざっくりと要約すれば、一番館と呼ばれて新作映画を専門に公開する大手映画会社系列の劇場と、二番館や三番館と呼ばれてロードショーが終わった映画を上映する名画座で成り立っていた。名画座はたいてい2本か3本立て。この組み合わせに、それぞれの名画座のセンスや嗜好が表れる。成瀬の『めし』や『浮雲』は、池袋か高田馬場の名画座のオールナイトで観たはずだ。
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