麻原彰晃の三女を追ったドキュメンタリー『それでも私は』は日本社会の歪みを見せる鏡
ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<世間から容赦ない罵声や嘲笑を浴びせられてきた松本麗華が、6月公開の映画の被写体になった意味とは>
2018年7月6日、上川陽子法務大臣(当時)の死刑執行命令によって、オウム真理教の死刑囚である麻原彰晃(松本智津夫)、早川紀代秀、井上嘉浩、新実智光、土谷正実、中川智正、遠藤誠一の死刑が執行された。計7人。
さらに26日には林(小池)泰男、豊田亨、端本悟、広瀬健一、岡崎(宮前)一明、横山真人の6人が処刑され、オウム真理教事件の死刑確定者全員の処刑が完了した。
ひと月の間に13人が処刑されたことも前代未聞だが、10人が(本来は執行を猶予される)再審請求中だったこと、同一事件の共犯者は同時に執行するという慣例が守られなかったことなど異例ずくめの執行だった。
特に麻原が処刑された6日、メディアは朝から、大はしゃぎという言葉を使いたくなるような報道を続け、フジテレビは選挙特番のように、13人の顔写真が並んだパネルに「執行」と書かれたシールを貼るという演出を行った。
6日は大雨だった。僕は所用で京都に向かっていた。雨の影響で新幹線は何度も止まり、旧知の記者から処刑を知らせる連絡を受けた。
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