年老いた母を撮って内省、『スープとイデオロギー』で監督ヤン ヨンヒが願うのは
本作も含めて、朝鮮半島と日本の相克を在日コリアンの視点で描き続けてきたヨンヒは、決して日本を声高には責めない。極めて内省的なのだ。だから僕が代わりに書く。朝鮮半島が分断したそもそもの理由は何か。その帰結として日本に暮らすことを余儀なくされた在日コリアンにヘイトの視線を向けるのは誰か。パンフにあるヨンヒの言葉を最後に記す。
「1本の映画が語れる話なんて高が知れている。それでも、1本の映画が、世界に対する理解や人同士の和解につながると信じたい。私の作品が多くの人々にとってポジティブな触媒になることを願っている」
『スープとイデオロギー』(公開中)
©PLACE TO BE, Yang Yonghi
監督/ヤン ヨンヒ
<本誌2022年6月28日号掲載>
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