コラム

通学路の交通事故がなくならないのはなぜか?

2022年03月18日(金)17時40分

住民も同様だ。「歩道を設けてほしい」という要望はよく出る。安全に歩ける道路空間がほしいという意味だが、この要望をまともに受け止めてしまうと予算や用地を確保するのが難しい。実現するまでに時間がかかってしまう。

身近な例で考えてみてほしい。かつて通った通学路は、自身が児童・生徒だった頃より改善されているだろうか。

小学校の通学路については、意識の高い地域もある。しかし、中学校や高校になると広域になり、通学する学校も分散するため、取り組みは手薄だ。対策されていないところも多い。子供たちが事故を起こさないよう注意し、ドライバーもハラハラしながら運転に気を付けることで、なんとか安全が保たれている場所も多い。

このように通学路の事故はどこで起きてもおかしくない。少子化の今日、安全対策の優先順位は極めて高い。事故が起きてから合同点検をするのではなく、未然に事故を防止する仕組みと組織づくりが急務だ。

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プロフィール

楠田悦子

モビリティジャーナリスト。自動車新聞社モビリティビジネス専門誌『LIGARE』初代編集長を経て、2013年に独立。国土交通省の「自転車の活用推進に向けた有識者会議」、「交通政策審議会交通体系分科会第15回地域公共交通部会」、「MaaS関連データ検討会」、SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)ピアレビュー委員会などの委員を歴任。心豊かな暮らしと社会のための、移動手段・サービスの高度化・多様化とその環境について考える活動を行っている。共著『最新 図解で早わかり MaaSがまるごとわかる本』(ソーテック社)、編著『「移動貧困社会」からの脱却 −免許返納問題で生まれる新たなモビリティ・マーケット』(時事通信社)、単著に『60分でわかる! MaaS モビリティ革命』(技術評論社)

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