コラム

移動手段の生涯計画が必要な時代に「モビリティ教育」を

2022年01月14日(金)18時25分

モビリティ教育の推進者は誰か。取り組みが1年かぎりで終わらないようにするにはどうすればいいのか。

モビリティ教育を受ける最適なタイミングとしては、免許取得前の小学校〜高校、自動車教習所、運転免許証の更新、還暦や定年退職などで人生を見直す時が考えられる。また交通安全週間、交通安全教室、入学時の自転車教育、環境教育、公共交通の乗り方教室などの、既存の取り組みを個別の施策として区別するのではなく、生涯移動に困らない暮らしをその地域で実現するにはどうしたらいいのか──という問いを念頭に置いて、人生設計の重要な項目として認識し直すべきだ。

またモビリティ教育に取り組むことで、クルマがなくても充実した生活を送ることのできる持続可能な公共交通づくり、交通安全、環境問題、健康について市民が考えるようになり、高齢者が安心して暮らせる魅力的な地域づくりへの興味関心が高まるはずだ。

安心して歳をとることができない地域という認識が広まれば、若者を筆頭に住民の転出は避けられない。公共交通が充実していない地域において、クルマを持たずに生活することに思いを及ばせることは、自治体の存続を考える上で最優先の課題と言っても過言ではないだろう。

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プロフィール

楠田悦子

モビリティジャーナリスト。自動車新聞社モビリティビジネス専門誌『LIGARE』初代編集長を経て、2013年に独立。国土交通省の「自転車の活用推進に向けた有識者会議」、「交通政策審議会交通体系分科会第15回地域公共交通部会」、「MaaS関連データ検討会」、SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)ピアレビュー委員会などの委員を歴任。心豊かな暮らしと社会のための、移動手段・サービスの高度化・多様化とその環境について考える活動を行っている。共著『最新 図解で早わかり MaaSがまるごとわかる本』(ソーテック社)、編著『「移動貧困社会」からの脱却 −免許返納問題で生まれる新たなモビリティ・マーケット』(時事通信社)、単著に『60分でわかる! MaaS モビリティ革命』(技術評論社)

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