コラム

「11秒に1件発生」ランサムウェア攻撃が、AIでさらに進化...サイバー専門家が語る日本の問題点

2025年08月21日(木)18時20分

KR ヤクザですか。他にはない経歴ですね。最近のサイバー攻撃のトレンドをどう見ていますか?

棚瀬 外国の政府系攻撃者による攻撃(APT)の脅威は依然として継続していると見ています。また、DDoS(分散型サービス拒否)攻撃で試しに攻撃をするなど重要インフラをターゲットにしようとする攻撃者の取組みも、引き続き高い傾向にあると考えられます。

ランサムウェア攻撃(身代金要求型ウイルス)の事例が最近あまり報じられなくなったことを背景として、知人から「減少しているのか」と聞かれますが、身代金の支払いの有無は別として、今も多数の情報がダークウェブに晒されており、ダークウェブ上での攻撃者グループや関係者のやりとりも活発に行われており、ランサムウェア攻撃も依然として多いものと考えられます。

KR そうですね。私が現在観察している脅威はいくつかあり、世界的に、そして日本でも、新たな種類の脅威の波が押し寄せ始めています。まずおっしゃる通り、ランサムウェアは以前よりも増えています。2022年から2023年のランサムウェア攻撃は30秒~1分ごとに起きていましたが、今は11秒ごとに起きています。日本でもランサムウェアの事例が減速していません。

しかも新たな傾向として、身代金を支払っても支払わなくても、攻撃者はあなたのデータを盗み、AIを使ってその内部データを分析し、次に攻撃を仕掛けるために使用できる弱点を見つけるということをやっています。

プロフィール

クマル・リテシュ

Kumar Ritesh イギリスのMI6(秘密情報部)で、サイバーインテリジェンスと対テロ部門の責任者として、サイバー戦の最前線で勤務。IBM研究所やコンサル会社PwCを経て、世界最大の鉱業会社BHPのサイバーセキュリティ最高責任者(CISO)を歴任。現在は、シンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ会社CYFIRMA(サイファーマ)の創設者兼CEOで、日本(東京都千代田区)、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカでビジネスを展開している。公共部門と民間部門の両方で深いサイバーセキュリティの専門知識をもち、日本のサイバーセキュリティ環境の強化を目標のひとつに掲げている。
twitter.com/riteshcyber

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