インタビュー:中国の対日認知戦、当局の強い影響示唆 サカナAIが分析
写真はデジタル装飾されたスクリーンに映し出される中国の習近平国家主席。2020年11月、浙江省烏鎮で撮影。REUTERS/Aly Song
Yusuke Ogawa
[東京 9日 ロイター] - 高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁をきっかけに日中間の緊張が高まる中、日本発のAIユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)であるサカナAIが中国の認知戦について調査した。
外務省出身で、同社幹部の石井順也氏は「SNS上で日本を批判する投稿は、中国外務省が日本側に厳重抗議した昨年11月13日以降に急増しており、中国当局の強い影響が示唆される」と指摘した上で、「ボット(自動投稿プログラム)の蓋然性が高いとみられる動きも相当数あった」と話した。
石井氏は「生成AIの進化によって外国勢力が簡単に日本語でプロパガンダを展開できるようになっており、(偽情報などを用いて世論の分断を狙う)認知戦の脅威は確実に増している」との見方を示し、政府による対策強化の必要性を強調した。一問一答は次の通り。
――高市首相の国会答弁を巡るSNS分析の結果は。
「X(旧ツイッター)をはじめとした複数のSNSプラットフォームを対象に、台湾有事を巡る発言に対する反応を可視化した。興味深いのは、日本への批判的な投稿が増加したタイミングだ。高市氏の発言があった昨年11月7日直後には、実はそれほど大きな反応は見られなかった。しかし、中国外務省が日本側へ公式に抗議した13日以降、批判的なナラティブ(言説)の投稿数が急増した。18日には投稿件数が(13日と比べて)約3倍に達したほか、『いいね』の数も爆発的に増えた。過激で反復性のある投稿も多く、ボットの蓋然性が高いとみられる動きが相当数あった」
「特に中国語圏でこうした傾向が鮮明となっており、歴史認識・戦争責任問題や、日中共同声明の解釈を含む外交・安全保障問題、沖縄の『帰属問題』などの様々なナラティブが13日以降に一斉に広がった。中国当局が全てをコントロールしているわけではないだろうが、このタイムラグは、当局がSNS上に強い影響力を持っていることを示唆している。また、言語による内容の違いも浮き彫りになった。中国語圏では当局の意向に沿った批判が主流だが、英語圏では排外主義や人権意識の低さといった(欧米で受け入れられやすい)文脈での日本批判が展開されていた」
――サカナAIの分析手法の強みは。
「最大の特徴は、独自のアルゴリズムを用いた『ナラティブの抽出とクラスター化』にある。汎用的な大規模言語モデル(LLM)に分析させても全体的な増減の傾向しか分からないことが多いが、当社の場合は多様なナラティブを捕捉した上で、発信者の意図や思想を考慮しながら論理構造ごとに細かく分類できる」
「投稿件数が少なくとも、他とは異なる独特な意見であれば切り捨てずに捕捉することも可能だ。例えば、中国語による『日本のアニメは軍国主義のプロパガンダだ』といった、現時点でそれほど多くは見かけない主張を、今回はデータの山に埋もれさせずに独立したナラティブとして拾い上げた。認知戦に将来使われうる言説の早期発見につながると考えている」
――認知戦の脅威に、日本はどう備えるべきか。
「欧州はロシアによる選挙干渉、台湾では中国による動画共有アプリ『TikTok(ティックトック)』を利用した情報工作が度々指摘されるなど、海外の方がはるかに状況は深刻だ。日本はまだ危機感が希薄だが、生成AIの進化によって外国勢力が簡単に日本語でプロパガンダを展開できるようになり、脅威は確実に増している。表現の自由との兼ね合いもあるが、認知戦に有効に対処するために、政府は積極的に対策を打っていく必要があるのではないか」
「当社は日本発のAI企業として、国益を重要視している。私と同様に伊藤錬・最高執行責任者(COO)も外務省出身ということもあり、とりわけ国の安全保障や外交の分野で大きく貢献していきたい。AIを用いた政府のインテリジェンス(情報分析)支援では、米国のパランティア・テクノロジーズが有名だが、日本にはまだ先行企業が存在していない。今後は、政府機関向けに分析ツールなどを提供するだけでなく、民間企業を対象にしたアドバイザリー業務の参入も視野に入れている」
いしい・じゅんや 99年東大法卒、03年米スタンフォード大院修了。外務省や大手法律事務所、住友商事グローバルリサーチなどを経て25年10月にサカナAI入社。防衛・インテリジェンスチームのプロジェクトマネージャーを務める。
(聞き手・小川悠介 編集:橋本浩)
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